LIFE 暮らしを楽しむグッドな情報
ヘルシンキで生まれる小さな善意。フィンランド映画『希望のかなた』
© SPUTNIK OY, 2017
フィンランドを代表する映画監督アキ・カウリスマキ最新作
こんにちは。あいぽんです。
今回はフィンランドの映画『希望のかなた』を紹介したいと思います。
フィンランドと聞いてみなさんはどんなイメージをしますか?映画をパッと想像する人はあまり少ないのではないでしょうか。
© SPUTNIK OY, 2017
でも実は、フィンランド映画には知る人ぞ知る名作がたくさん。その中でも今回紹介する『希望のかなた』のアキ・カウリスマキ監督はフィンランドを代表する映画監督です。
ちなみに、作家の村上春樹氏は、フィンランドと聞いて真っ先に浮かぶのがこのアキ・カウリスマキ監督の映画なのだそう!そのアキ・カウリスマキ監督の最新作『希望のかなた』を紹介します。
あらすじ
© SPUTNIK OY, 2017
内線が激化する故郷シリアを逃れた青年カーリドは、生き別れた妹を探して、北欧フィンランドの首都ヘルシンキに流れ着く。空爆で全てを失くした今、彼の唯一の望みは妹を見つけ出すこと。
“いい人々のいい国”だと聞いていたフィンランドでも、ヨーロッパを悩ます難民危機の影響もあり、難民許可申請を却下されたり、差別や暴力にさらされるカーリド。 © SPUTNIK OY, 2017
しかし、偶然出会ったレストランオーナーのヴィクストロムが彼に救いの手をさしのべてくれる。
© SPUTNIK OY, 2017
ヴィクストロムもまた、行きづまった過去を捨て、人生をやり直そうとしていた。やがてカーリドは、ヴィクストロムの店で働くようになります。
© SPUTNIK OY, 2017
レストランのスタッフは、風変わりでやる気のない人たちばかり。お客さんも少なく、廃れていく一方のレストランだが、その中でヴィクストロムとカーリドは友情を育んでいく。
© SPUTNIK OY, 2017
それぞれの未来を探す2人はやがて“家族”となり、彼らの人生には希望の光がさし始める。そんなとき、妹の居場所を知らせる連絡があり…。
小津安二郎を彷彿とさせるユーモアとウィット
© SPUTNIK OY, 2017
本作はカウリスマキ監督自ら「難民3部作」と位置づけた作品で、2017年のベルリン国際映画祭では批評家だけでなく観客からも圧倒的支持を受け、銀熊賞(監督賞)を受賞。
中東の紛争、ヨーロッパの難民問題と現実的で重く考えさせるテーマを扱いながらも、ユーモアとアイロニーに溢れた会話が観るものを引き込みます。
© SPUTNIK OY, 2017
特に日本人にとっては、笑いがこぼれてしまうのがこのシーン。レストランをお寿司屋さんにリニューアルするのですが、このドタバタ劇は劇場中から笑いがこぼれていました。背景や国は違うけど、ちょっと偏屈な登場人物に親近感と愛着が湧いてきます。
なんでも、カウリスマキ監督は、日本を代表する映画監督である小津安二郎に心酔しているなど親日家。寡黙な登場人物の簡潔だけどユーモアが散りばめられたセリフまわしや映像の切り取り方は確かに小津安二郎を彷彿とさせます。
ちなみに、来日中は必ずお寿司屋さんに行くのだとか!
© SPUTNIK OY, 2017
ポップで大胆な色使いもおしゃれ!赤やブルーの色使いがとってもかわいいです。さすがデザイン大国!
© SPUTNIK OY, 2017
ユーモアとウィットに富んだ笑いのあるシーンも多いですが、ラストシーンは考えさせる終わり方でした。それでもカーリドとヴィクストロム、そして彼らを取り巻く人々、それぞれにとっての「希望」や「希望のかなた」を感じられるラストにこみあげるものが。理不尽な世の中に散りばめられた無償のやさしさや小さな善意が希望につながっていく、そんなことを教えてくれる映画でした。
フィンランド映画初心者にもおすすめ!
© SPUTNIK OY, 2017
最近では、毎年日本でもフィンランド映画祭が開催されるようになり、今後さらに注目が高まるであろうフィンランド映画。実は私も今回『希望のかなた』はじめてフィンランドの映画を観ました。テーマはフィンランドならではのものでしたが、登場人物や会話などは親近感が湧くポイントがいっぱい!色使いや映像もおしゃれで、他にもいろいろな作品を観たくなりました。
特に、カウリスマキ監督は小津安二郎をリスペクトしていたり、親日家ということもあり、フィンランド映画初心者の方にも観やすいと思います。この冬、おすすめの作品です。
そして最後に、みなさんに嬉しいお知らせです!
箱庭読者2名様に、『希望のかなた』の限定サントラCDプレゼントします!
ぜひこの機会にご応募くださいね。ご応募は、一番最後にあるプレゼントページリンクからどうぞ。
-
映画『希望のかなた』
- 12月2日(土) 渋谷・ユーロスペース、新宿ピカデリー他にて 全国順次公開
- 原題:TOIVON TUOLLA PUOLEN/英語題:THE OTHER SIDE OF HOPE
- 監督・脚本:アキ・カウリスマキ
- 出演:シェルワン・ハジ、サカリ・クオスマネン
- 2017年/フィンランド/98分/フィンランド語・英語・アラビア語/DCP・35㎜/カラー
- 配給:ユーロスペース
読者プレゼント
『希望のかなた』の限定サントラCDを2名さまにプレゼント!
こちらのプレゼント応募ページより、必要事項をご記入の上ご応募下さい。
※当選は、プレゼントの発送をもってかえさせていただきます。