LIFE 暮らしを楽しむグッドな情報
教えて青果ミコト屋さん。オーガニック野菜って取り入れたほうがいいですか?
新コーナー『週末からだ時間』がはじまります
こんにちは、箱庭編集部の祥子です。
2018年、箱庭では新たに、「からだとこころの健康」を取り上げるコーナー『週末からだ時間』をはじめます。
これまで箱庭が取り上げてきたジャンルとは少し違うので、驚かれる方もいるかもしれませんね。
箱庭は、早いもので立ち上げから6年が経ちます。
“女子クリエイターのためのライフスタイルつくりマガジン”ということで、
日々の暮らしがちょっとでも楽しくなるような、クリエイティブな情報を届けてきました。
何歳になっても刺激的で楽しい毎日が必要だと思う一方で、
私たちもメディアと同じように年齢を重ねて、
からだとこころが健康であることを意識するようになってきました。
ただ、
「毎日仕事に家庭に、そして楽しいことに忙しくて、大袈裟なことはできない。」
「健康的なことって、楽しいことが二の次になったりしないかな…。」
そんな風にも思っていたので、一歩踏み出せずにいたのです。
周りを見渡したら、同じように思っている方も多くて、
そんな方のためにコーナーをつくってみたらどうだろうと思いました。
大袈裟すぎるのも、ストイックすぎるのもちょっと違う。
忙しい1週間のたった1日、ほんの少しの時間だけ、ひと息つくように健康的な何かを取り入れられたら。
いつものように、楽しむように取り入れて、
ふと気づいたら、からだとこころが整えられてた。
そんな風な姿を目指していきたいなと思います。
みなさんも、ちょっとひと休みしたいな~と思ったときに、
このコーナーを覗いてもらえたら嬉しいです。
まずはちょっとだけ、楽しみながらはじめましょう!
前置きが長くなってしまいましたが…、
今回は、「オーガニック野菜」についてのお話です。
からだに良いことをはじめてみようかな…と思ったときに気になるのが、「オーガニック野菜」。なんとなくからだに良さそうなイメージはあるけれど、スーパーで気軽に買えるものではないし、なにが良いのかもちょっとわからない…。本当に取り入れる価値があるものなのかな!?
今回、そんな私たちの疑問を、旅する八百屋「青果ミコト屋」の鈴木鉄平さんにぶつけてみました。「オーガニック」ってそもそも何?というところから丁寧に教えてもらいましたよ。
今回お話を伺った、旅する八百屋「青果ミコト屋」の鈴木鉄平さん。
「青果ミコト屋」は、自然栽培を中心とした、おいしい野菜を定期宅配する小さな八百屋さん。 日本全国津々浦々を旅してまわり、さまざまな生産者と直接触れ合いながら、その審美眼でおいしい旬の野菜を見つけ出し、届けています。
ミコト屋さんで取り扱う野菜についての想い
箱庭編集部(以下、箱):まず、ミコト屋さんで取り扱っている野菜について教えてください
鈴木鉄平さん(以下、ス):ミコト屋では主に自然栽培の野菜を扱っています。オーガニック=有機栽培の野菜は肥料を使いますが、自然栽培は肥料も使っていないものですね。
ただ、それだけしか扱わない…ということではありません。例えば300年に渡り代々受け継いできた在来種の種を扱っている農家さんのものだと、多少農薬を使っていたとしても扱っています。それは在来種を未来に残していくことの方が大事だと考えるから。その活動を応援したいという気持ちが強いです。他にも今、農薬を減らしていて、今後は有機栽培に切り替えていくために頑張っている農家さんだと、想いを共有したいので取り扱っています。
一般的に、「オーガニック」は「有機栽培」と同じ意味だとされています。化学農薬や化学肥料を使用することなく育てられた農作物や、その農法自体を指して広く使われている。日本では「オーガニック」と表示して販売する場合、検査や認証を経て「有機JASマーク」をつけることが義務付けられていますね。
ただ、JAS認定の野菜でも実は農薬を使っている野菜もあるし、認定を受けていないだけでJAS基準よりもっと厳しい基準でオーガニックな作物を育てている方もいる。「オーガニック」という言葉は誰もが知っている言葉になったけど、その言葉だけが先行してしまっていて…。オーガニックかオーガニックじゃないかということではなく、もう少し本質的に大事なことは何かを考える必要があると思います。
オーガニックってハードルが高い…。でも考え方一つで変えられる?!
箱:箱庭編集部のメンバーもオーガニックってちょっと気にはなっているものの、正直まだまだハードルが高いと感じてしまいます。
ス:ハードル高いですよね…。海外ではヴィーガン(菜食主義者)の人も当たり前にいますし、「これはオーガニックなの?」と、普通に会話に出てきます。日本ではまだまだオーガニックが特別視されている傾向がある。もっと気軽に付き合える環境作りが大切ですよね。
箱:単純にオーガニックの野菜って高くないですか?
ス:高いですよね…。下手したら倍くらいするものもあります。でも僕たちからしたら適正価格だと思いますよ。それだけ作るのに手間暇がかかっているので。安いものがなぜ安いのか? を考えてみてください。やはりその裏では誰かが苦しんでいたりなど、それなりのカラクリがあるはず。その物の背景を想像していく力を、育んでいけたら消費の仕方も変わりそうですよね。
あとはオーガニックのものがもっと消費者に支持されれば、値段も下げられますよね。需要と供給のバランスがありますから。今は昔と違ってネットやSNSも盛んだし、良い情報が簡単に手に入ります。だからいいものに対しての意識を変革しやすい時期だと思います。今がチャンスかなと。
箱:ところで、オーガニックの野菜はおいしいと言いますが、味は本当にいいんでしょうか?
ス:野菜は肥料の質や、品種、育つ環境によって多様な味わいがあり、オーガニックの味をひとくくりにするのは難しいですね。
オーガニックだからおいしいのではなく、農薬や肥料に頼らずに栽培するためにはどうしたら良いか試行錯誤したり、野菜や土をよく観察する。そういった農家さんの努力や姿勢が、結果的においしさに結びつくのだと思います。
オーガニックの野菜を食べているんだ、という気持ちがおいしさを増幅させてくれるならば、それはそれで素晴らしいことだと思います。加えてその野菜の生産者のことや、育った背景、ストーリーまで感じられたら、そりゃおいしいってなるものです。
スーパーで売っている野菜にもリスペクトは欠かさない!
箱:農薬を使っている野菜については、どう思われますか?
ス:僕はスーパーで売っている野菜に対するリスペクトも欠かさないようにしています。もちろん「自然栽培じゃなきゃいけない」「オーガニックじゃなきゃいけない」という時期もありました…。でもそれはよくないと思っていて。
例えば農薬は使っているけど、田舎のおじいちゃんが孫のために愛情を込めて育てた野菜と、畑にろくに足も運ばないで育てたオーガニックの野菜と、どちらがからだにいいかといったら、前者だと思いたいですよね。目には見えないけれど、野菜も生き物だと思えば、そういうバイブスはあると思います。科学的には証明できないことだけど、そういうことを信じたい!っていう気持ち、ありません?
箱:ミコト屋さんが野菜を販売する時は、やっぱり説明をこと細かくするんですか?
ス:もちろん聞かれた場合はしっかりと答えますが、あまり押し付けがましいことはしません。うんちくで売ると頭で食べてしまうので、直感的にいいものだと感じてもらいたいっていうのがあるので。もちろん買う側の方も、知識や学ぶ意欲はもってもらいたいなとは思いますが。
ミコト屋では冊子や映像を作ったりしていますが、あくまで興味を持ってくれるきっかけを作れたらなと思っています。
オーガニックはあくまで選択肢のひとつ
箱:お話を聞いて、私たちももっと身近にオーガニックを取り入れてみたいと思いました。そのためにまずはどんなことを心がければいいですか?
ス:あくまで選択肢のひとつでいいと思いますよ。無理に続けようとしても難しいと思うので。週に1回、月に1回、例えば宅配野菜などでオーガニックなものを買ってみよう、というくらいでいいと思います。そういうところから、楽しさとか心地よさを感じたり、生産者さんを応援したいなという気持ちが芽生えたりすると、続けてみようかなってなるかもしれないので。そういう小さいことの積み重ねかなと思っています。
よく思うのが、皆さん電化製品や洋服にはお金をかけて、まず食事代を削ろうとしますよね? 食べ物は形に残らないので意識がそこに向きにくい。でもからだって食べたものでできるから、最終的には一番残るんですよ。目に見えないものだから、なかなか信じられないかもしれませんが、それが事実ですよね。
だったら電化製品や洋服、雑貨やお酒などにかけるお金をほんの少し野菜にまわすだけで良いのでは?! 単純にオーガニックの野菜が高いから買わない、ではなく他のものと相対的にみて価値があるかを考えれば、そういう選択肢も出てくるのではないでしょうか。
箱:オーガニックについて勉強すればするほど、ストイックになり過ぎてしまう人が多くて正直ひいてしまうこともあるのですが…。
ス:そうそう、ストイックになりがちですよね、自分もそんな時期がありました。でも、自分自身もジャンクフードを食べて育ってきましたし、今でも好きな食べ物はトンカツですよ! もちろん野菜もすごく好きですけど。マクロビオティックのコミュニティにいた時も、ある時我慢できなくなって、抜け出してトンカツを食べにいったこともあります(苦笑)。
何事もそうですが、自分の心に嘘をついたり、無理してストレスを抱えるのは良くない。ジャンクなものを取りすぎちゃったなと思ったら、また整えようと思えばいいんです。
みんながオーガニックを選択肢のひとつとして持ってくれるだけでも、そういう人が増えていけばオーガニックのシーンは良くなると思います。
まずはオーガニック野菜そのものの味を楽しんでみよう!
箱:私たちも選択肢の一つに加えてみます。さっそく実際に食べてみようと思うのですが、オーガニック野菜のおいしい食べ方を教えてください。
ス:そんなに手をかけなくても、シンプルに食べればおいしいです! ということをいつも伝えています。まずは生で食べてみてください。野菜そのものの味が分かります。そのものの味をわかった上で、じゃあこの野菜にはこのくらい塩をふってみようかなとか、このくらい火を入れてみようかなと試してみるといいですよ。その経験値をあげていくことが大事かなと。
凝ったレシピや調味料、他の食材と無理に組み合わせなくても、シンプルな味付けでいくらでも美味しくたべれます。そこが各々の腕の見せどころだと思います。レシピをそのまま再現するのではなく、自分でいろいろ試してみると面白いので、ぜひ楽しみながらクリエイティブにチャレンジしてみてください!
鈴木さん、ありがとうございました!
からだに良いことをするんだと力んで考えるのではなく、まずは月に一度オーガニック野菜を楽しむことから始めてみてもいいんだなあと思いました。
気になった方はぜひ一度試してみてください~。
ちなみに編集部でも実際にミコト屋さんの宅配サービス野菜を、公式のWebサイトから注文してみましたよ!
箱庭編集部が注文したのは、定期便のMセット(税込3,100円)。箱を開けると、イキイキと生命力溢れる野菜たちが顔をのぞかせました。Mセットは、3人分を目安としたたっぷりバラエティに富んだ内容。
ミコト屋さんに教えてもらったとおりに、生でかじれる野菜はまずは生でかじってみましたが、青々とした香りとみずみずしい味が印象的でした。食べることで、なんだか野菜からパワーをもらえたように感じました。今週の旬野菜とそのレシピが載った冊子も同封されているので、旬の野菜を前に料理熱も高まりそうです。
まずはお試しセットを体験してみるのも良いですし、定期便はSS〜Lセットまで用意があるので、それぞれのライフスタイルに合わせて選ぶとよいですね! 箱庭編集部でも毎月取り寄せて、実際にミコト屋さんの発信する野菜を楽しんでいきたいと思います。
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「青果ミコト屋」
公式Webサイト:http://micotoya.com/
Facebook : https://www.facebook.com/micotoya
Instagram:https://www.instagram.com/micotoya/
Photo:Masahiro “Lai” Arai(2、5、10枚目を除く)
旅する八百屋 青果ミコト屋(鈴木鉄平、山代徹) (著)
単行本: 180ページ
出版社: アノニマ・スタジオ (2015/5/18)
言語: 日本語
ISBN-10: 4877587365
ISBN-13: 978-4877587369