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週末読みたい本『ニッポン駄菓子工場』
大人になった今だからこそ感じる、駄菓子の魅力。
こんにちは!箱庭編集部みのりです。
子どもの頃、私たちを夢中にさせてくれた駄菓子。大人になった今、街で駄菓子を見かけると懐かしい気持ちになって、つい買ってしまうのは私だけではないはず。今回は、そんな駄菓子の魅力を改めて伝えてくれる本「ニッポン駄菓子工場」を紹介したいと思います!
写真家集団が切り取った、駄菓子の本
本書では、子どもの頃の私たちにとって”夢の工場”だった駄菓子の生産工場を取材し、駄菓子誕生の瞬間や裏話を紹介しています。更に、子どもの頃食べた懐かしの駄菓子から、定番のヒット商品までを掲載した駄菓子図鑑も収録されています。
東京写真学園/写真の学校の在校生・卒業生による写真家集団「Beretta」が撮影した、駄菓子のかわいらしさや懐かしさを伝えてくれる写真にも注目です!
みんなが大好きなあの駄菓子の秘密とは?
第一幕「駄菓子誕生の瞬間に迫る」では、あの頃食べた懐かしの駄菓子から、大人になっても食べている定番の駄菓子まで、32商品が生産されている駄菓子工場を案内。大好きな駄菓子の工場見学をしているような気持ちで、楽しく読み進めることができますよ!
まず紹介したいのは、甘酸っぱいイチゴの風味×濃厚なミルクの組み合わせや、かわいらしいパッケージが私たちを虜にしてきた「いちごミルクキャンディー」。何よりあのサクサクとした食感が好き!という方が多いのでは?でも、どうやってあの食感が作り出されているのか気になりますよね。
本書にはその秘密が書かれているのですが、想像以上に手間や技術が詰まっていて、ほんとうに駄菓子なの?と驚いてしまうほど。それでも、「子どもが好きなものを作りたい、なめるだけでなく食感も楽しんでほしい」という純粋な気持ちで、1890年の生産開始以来、変わらない味と食感を作り続けているそうです。
もう一つ紹介したいのは、私が大好きな駄菓子「都こんぶ」。エピソードを読み、生産過程で多くの時間とお金がかけられ、手間暇かけて作られていることを知り驚きました。
北海道の指定浜から送られてくる昆布は、なんと全て一級品!昆布の荒漬けから製品の梱包まで、11の工程全てに、丁寧な人の手がかかっているそうです。「合理化の名の下の手抜きはあかんよ。一日工程を省いたら、楽になるけど味が変わる」というのが、半世紀以上にわたって都こんぶを作ってきた木村顧問のお言葉。
子どもの頃からずっと変わらない味を楽しめるのは、時代が変わっても丁寧な仕事をし続ける企業の姿勢があってこそ、ということを思い知りました。
見ても食べても楽しいお菓子の世界
第二幕では、たくさんの駄菓子の中から見て楽しい、食べて美味しい駄菓子58種が紹介されています。
コロンとかわいく、フルーティーな味わいが優しい「フーセンガム」は子どもの頃、弟とどっちが大きく膨らませられるか競った思い出があります(笑)。カラフルでフルーティーな4種類の餅飴を爪楊枝で食べる「キャンディボックス」は、友達と仲良くシェアして食べたっけなぁ。
他にも、袋を開けるまで何が出てくるか分からない、じゃんけんができるグミ「まけんグミ」や、当たりが出るともう一つもらえるキャンディー「当たりコーラ」など、アイディアが光る楽しいお菓子がたくさん紹介されていました!
改めて駄菓子を見つめ直してみると、それぞれに楽しい思い出があり、今でも私たちをワクワクさせてくれる存在であるということを実感しました。
駄菓子屋が減っても、駄菓子がなくならない理由とは?
実は、駄菓子屋などの菓子小売業の事業所数はこの20年で7割以上も減少しているそうです。少子化などの理由で、多くの駄菓子屋が姿を消していることは残念ですが、一方でスーパーマーケットやコンビニ、インターネットなど新たな販路が近年開拓され、客層は子どもだけでなく大人にも広まっているそうです。
時代が変わっても駄菓子がなくならないのは、各企業の努力によって、それぞれの駄菓子に私たちを惹きつけてやまない魅力があるからこそ。本書を手に取り、駄菓子のそんな側面を感じてもらえたら嬉しいです!
ニッポン駄菓子工場
著:Beretta
価格:1,728円(本体1,600円+税)
仕様:並製 248p 四六判
ISBN:978-4-8441-3738-2
発売元:雷鳥社
URL:http://www.raichosha.co.jp/book/photo/ph106.html