暮らしのいろいろていねいに、つちとねこんにちは、箱庭編集部の祥子です。

からだとこころをすこやかな状態に整えることを考えたときに“ていねいな暮らし”というキーワードってよく聞きますよね。でも、“ていねい”な暮らし方って、どういう暮らし方なんだろう?暮らしをていねいにするって、一体何をどうしたらいいんだろう?

そこで今回の「週末からだ時間」では、食とセラピーをテーマに、日々の暮らしをていねいに積み重ねていくことを提案している西荻窪のカフェ、「暮らしのいろいろ ていねいに、」でていねいな暮らし方を聞いてきました!

地域密着型のアットフォームなカフェ

西荻窪の南東にある神明通りの道沿いには、健康志向の魅力的なお店が多いですよね。

先日、「週末からだ時間」でも伺った、この通り沿いにあるカフェ「raccoon」さんから少し歩いたところに「暮らしのいろいろ ていねいに、」はあります。

暮らしのいろいろていねいに、つちとね「暮らしのいろいろ ていねいに、」は西荻窪という地域に寄り添って、その地域に住む人の健康と暮らしをサポートする食、セラピー、不動産、講座といった4つの事業を展開するカフェ。

ここにくれば、食事はもちろん、鍼やマッサージ、よもぎ蒸しなどのセラピーが受けられて、定期的に開催されているワークショップでは、からだや暮らしのことを学ぶことができます。さらに、西荻窪での不動産の相談まで可能なんです。暮らしのいろいろていねいに、つちとね築50年以上のアパートを改装して作られた店内は懐かしい雰囲気で、靴を脱いであがるスタイル。暮らしのいろいろていねいに、つちとね暮らしのいろいろていねいに、つちとねカウンターと、その奥には8畳ほどのお座敷があり、田舎に帰ったときのような不思議な安心感があります。

もともと長野県穂高にある、自然治癒力を高めることを目的とした宿泊施設「穂高養生園」で鍼灸のお仕事をしていた店主の福田さん。「穂高養生園」に来たお客さまと話していくうち、もっと日常に近いところで仕事帰りにほっとできたり、健康のことを相談できる場所があったらいいなあと思ったことが「暮らしのいろいろ ていねいに、」誕生のきっかけだったとか。

ほっと一息ついてこころを落ちつけられるような料理を日替わりで。

暮らしのいろいろていねいに、つちとね「暮らしのいろいろ ていねいに、」の中心となっているカフェスペースは、曜日や時間帯によって違うお店として運営しています。複数で運営する中でも共通して、無農薬などのなるべくからだにやさしい食材を使用し、ほっと一息ついてこころを落ちつけられるような料理を提供するということを大切にしているそうです。

今回伺ったのは週末の夜、「つちとね」さんの夜ごはんの日。「つちとね」では、有機化学を学んできた料理分析家のよこざわなおこさんが、五感と化学を組み合わせたお料理を提案しています。

野菜を手に取ったときに感じた第一印象を大切に調理する

暮らしのいろいろていねいに、つちとね早速、手書きのかわいいメニューリストの中から「夜の日替わりベジ定食」1200円(税込)を注文しました。暮らしのいろいろていねいに、つちとね運ばれてきた色とりどりの野菜でぱあっと明るいプレートに、今の季節を感じます。

「つちとね」という屋号には、野菜についていた土と根っこが思い出される料理にしたいという想いが込められています。プレートでその時の季節を想像できるように、見たときに自然が感じられるような調理、盛り付けをしているのだとか。

「この形かわいい!とか、みずみずしい!とか、野菜を手に取ったときに感じた第一印象を大切にしています。今日のメニューだったら、ラディッシュや芽キャベツの形や色がかわいいからこのまま使いたい!という部分からスタートしました。じゃあ、その良さを活かすためにはどういう調理法がいいか、とそこで初めて化学的な思考が入ってきます。」と、よこざわさん。暮らしのいろいろていねいに、つちとねパッと目に入ってきたのは、のびのびとした葉がそのままの姿でついているラディッシュ。口に入れてみると、カリカリっと焼かれた葉っぱの食感と適度な苦味がアクセントになっていておいしい!

焼かれたラディッシュの葉っぱを食べるのは初めてで、こんなに味わい深いんだ…と驚きました。低温で焼くことによって鮮やかな色も褪せることなく活かすことができるのだとか。

そして、さつまいもと焼きしめじ、青菜が入った春巻きを一口。サクサクっとした心地よい食感の後、最初にさつまいものやさしい甘さが広がって、他の野菜の風味とそれぞれの食感が重なってきます。暮らしのいろいろていねいに、つちとねPhoto:よこざわさん
料理に使う野菜は、よこざわさんが午前中に練馬の畑を自転車で回って、ひとつひとつ実際に見て触れてから購入しているそう。特によく利用するのは、35年近く無農薬で野菜を育てている練馬のおじいちゃんおばあちゃんの野菜直売所なのだとか。暮らしのいろいろていねいに、つちとねPhoto:よこざわさん
よこざわさん曰く、じっくり時間をかけてその土地に合わせて作った野菜はすごく香りが良いそう。香りって料理にとってすごく大切な要素ですよね。肉や魚を使わない料理だと、野菜の香りをより重視する必要があるから、昔から低肥料低農薬の農法を主流としている練馬の野菜にたどり着いたのは自然なことだったそうです。

よこざわさんとお話しをしながら、もっと「つちとね」のお料理が食べたくなって、「週代わりのお菓子」250円〜(税込)も注文!暮らしのいろいろていねいに、つちとねこの週のお菓子は、季節のいちごが入ったココアマフィン。いちごがちょこんと逆向きにのっていて、こののりかたがとってもかわいらしいなと思いました。中にもいちごがたっぷり入っていて、火の通ったいちごから出る酸味とやわらかくじゅわっとした食感がほろ苦いココアに合います。

自分を見つめ直すことから始めよう

「栄養素的にからだに良いものを毎日食べよう!なんて、頑張りすぎなくていいと思います。それよりもまず、自分のこころを元気にする手段を持っておくとか、どういう状態が自分にとって健康なのかを知っておくことが大切。例えばわたしが健康でいるために大切にしているのは、食に対して楽しいと感じられることと、好奇心がある状態を保っているということですね。」とよこざわさんは言います。

“ていねいに”と聞くと、「正しいことを」「良いものを」と、身構えがちですが、自分自身をまず見つめ直してよく知ることが大切なんですね。それが結果的に、ていねいな暮らし方につながっていくんだと思います。

今行っている化学的な視点の料理教室をこれからも続けて、より多くの人に料理の原理を伝えていきたいという、よこざわさん。原理を知ることで自分独自のアレンジができるようになるので、もっと料理が自由になると思うとのこと。今後は、さまざまな人との繋がりから、料理教室以外にもさらに活動の幅を広げていきたいそうです。楽しみですね!

まずは今目の前にあることを大切にする

暮らしのいろいろていねいに、つちとね「ていねいに暮らすとはこういうことだ!と上から目線で言うつもりはさらさら無いし、人それぞれだと思うけど…。ていねいに暮らすって、今目の前にあることを大切にするということかな、と思います。ご飯を食べている時は、ご飯を食べることにちゃんと集中するとか。忙しいと、ついつい先のことばかり考えてしまうけど、そのときそのときの選択肢に真摯に向き合うことが、ていねいな暮らしになると思うんです。」と、福田さん(写真右)。

お店の名前に「ていねいに、」とつけたのは、まずはお店を営む自分たちがそういうことを大切にしていきたいという想いからなのだそうです。

その後、福田さんやよこざわさんが最近気になっているものごとを聞いたり、常連のお客さまが差し入れとして持ってこられたケーキを皆で一緒に食べて、お話したり…。ゆるやかに自然につながることができる空気に心地よさを感じて、ついついのんびり長居してしまいました。

今この瞬間を大切に、ていねいに向き合って、こころとからだを自分らしく整えていきたいですね。この週末は、「暮らしのいろいろ ていねいに、」にぜひ足を運んでみてください。