文字がないからおもしろい!想像力溢れる海外のアートなZINE3選

イラストレーションがストーリーを綴っていくアートなZINEたち

こんにちは、橋本香です。私は絵を見ることが好きなので、休日に美術館に行ったり、ギャラリーに絵を見に行くことが多いです。ZINEの中でも、文字がほとんどなく、絵を見て想像して楽しめるアートなZINEが好きです。本日は、お気に入りのZINE3冊をご紹介したいと思います。

『13AVENUE / Emma』

このZINEは、どちらから開くかで、別々のストーリを楽しめる1冊です。表紙から左開きに開いていくと「13AVENUE」、右開きで開いていくと「Emma」という2つのストーリーを読むことができるんです。しかもこの2つのストーリーは、それぞれ別の作家が描いたイラストレーションによるショートストーリー。
『13AVENUE / Emma』
Lucas Harariさん著(13AVENUE)ハードボイルドタッチのイラストで、何だか激しい戦いのシーン、まるでサスペンス映画のようです。

『13AVENUE / Emma』

もう一方の davidadrien著(Emma)。こちらは、船上のストーリーで、ひとつひとつのイラストが大きく、船の一部分が描かれたシーンは、まるでポスターのような絵。そんな雰囲気ある絵がページをめくる度にでてきます。
もう一方の davidadrien著(Emma)。こちらは、船上のストーリーで、ひとつひとつのイラストが大きく、船の一部分が描かれたシーンは、まるでポスターのような絵。そんな雰囲気ある絵がページをめくる度にでてきます。

製本も変わっていて、それぞれのページが数ページずつ、通常の本のようにあって、間に1枚だけ2つをつなぐページがあるというものです。ちょっと複雑に見えますが、本自体も面白い作りです。davidadrienさんは以前にも紹介した本も作っていて、WEBサイトには様々な形の本が載っていて必見です!


この2つのストーリー、色や紙は共通でも雰囲気が全く違うので、とても楽しめます。
この2つのストーリー、色や紙は共通でも雰囲気が全く違うので、とても楽しめます。

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『EMPTY SPACE』

こちらの少し小さいハガキサイズのZINEは、韓国の作家 Jinjoo AhnさんのZINE。ペイントで描かれた山の絵が並んでいます。
『EMPTY SPACE』
描かれた山々の色味と空気感が、何ともいえない少し異世界の山のよう。岸壁が肉のような柄だったり、湖のような部分がピンクのマーブル模様だったりと、独特のペイントの柄が、まるで1枚の絵画を見ているように思えてきます。

『EMPTY SPACE』

『EMPTY SPACE』

タイトルにあるEmpty space(余白)、その余白の意味を考えながら、絵を鑑賞するように見るのがとても楽しい一冊です。
タイトルにあるEmpty space(余白)、その余白の意味を考えながら、絵を鑑賞するように見るのがとても楽しい一冊です。このZIENは50冊作られたようなんですが、残念ながらEditionナンバーが書き忘れられていました。残念~~。

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『The Sun’s Shadow』

最後の1冊は、台湾のSon NiさんのZINE。このZINEも文字はなくイラストレーションだけのZINE。表紙が個性的で、皮の手帳のような質感の紙で、薄いのに高級感があります。
『The Sun's Shadow』

『The Sun's Shadow』

ページをめくると、鮮やかなブルーの紙、そのあとに黒い紙が続きます。
ページをめくると、鮮やかなブルーの紙、そのあとに黒い紙が続きます。

本文の黒い紙も、表紙同様に個性的で、昔使ったことのあるカーボン紙か、一度片面を真っ黒にコピーした紙を使っているのかな、と思える、あまり見たことのない変わった質感でした。
本文の黒い紙も、表紙同様に個性的で、昔使ったことのあるカーボン紙か、一度片面を真っ黒にコピーした紙を使っているのかな、と思える、あまり見たことのない変わった質感でした。

『The Sun's Shadow』

真っ黒な紙に、イラストがすべて水色の細い線で描かれています。よく見ると、人のようなイラストがずっと走り続けているように思い、調べてみました。
真っ黒な紙に、イラストがすべて水色の細い線で描かれています。よく見ると、人のようなイラストがずっと走り続けているように思い、調べてみました。

このZINEは、高速列車の窓の内側と外側に隔てる空間を意識したストーリーで、電車の内側にあたるSun’s Shadowが、一緒に動く窓の外の景色よりも先に目的地に到着しようとするストーリーなんだそうです。電車の車窓からの風景を見て、そんなことを考えたことがなかったのですが、文字という説明部分がないからこそ、頭の中で想像が膨らみ、ストーリーの詳細を知った後、何度も読み返しました。


このZINEは、高速列車の窓の内側と外側に隔てる空間を意識したストーリーで、電車の内側にあたるSun's Shadowが、一緒に動く窓の外の景色よりも先に目的地に到着しようとするストーリーなんだそうです。
絵画を見るように、タイトルや内容の意味を考えながら何度も読んでみたり、作家さんのWEBサイトを見てみると、思いがけない発見や想像に巡りあいます。ZINEを手にして、本の中で描かれたものだけでなく、作家さんが持つ想像力に触れていけるのも、楽しさだなぁと思います。また次回も楽しい個性的なZINEを探し出したいと思います!