尾崎人形
こんにちは、箱庭編集部の森です。
「#mediacruise」で行く、佐賀県有田町・嬉野市の旅。今回ご紹介する尾崎人形は、有田町や嬉野市ではなく、佐賀県神埼市神埼町尾崎地区に700年以上伝わる焼き物の人形です。
佐賀県の気になるモノとして、箱庭編集部内で尾崎人形の話題はあがっていたのですが、有田町や嬉野市ではなかったので、当初取材先としては考えていませんでした。そんな中、一緒に旅したメディアの『さんち』さんと尾崎人形の話で盛り上がり、急遽作り手である高柳政廣さんの工房に『さんち&箱庭』で取材してきました!
—————————
#mediacruise」とは?
地域とメディアを繋ぐ新しい取材のかたちを実現したい!という想いのもと、cocorone・灯台もと暮らし・箱庭・さんち・dripの5つのメディアが合同で地域の取材に行くという取り組みです。まだ眠っている地域のユニークな魅力と、私たちメディア、そして読者のみなさんをつなぐ新しいかたちの実現を目指して、クラウドファンディングを実施しました。(現在は終了)

【これまでの記事】
お茶を五感で味わう!産地ならではの“体験”が出来る街、佐賀・嬉野市。
有田焼は高級ではなく、贅沢。有田焼の価値観を届ける、有田のセレクトショップ「bowl(ボウル)」
藤巻製陶さんで伺った、これまでにない直線が美しい器「1616 arita japan」が生まれた時のお話。
400年の歴史の中で代々続くものを、いまの暮らしにあうように受け継いでいく有田の窯元「陶悦窯」
—————————

多くの人を惹きつける、素朴で愛らしいデザイン

尾崎人形
尾崎人形は、粘土を鳥や人などに象り、白を基調に赤や青、緑などの鮮やかな色が塗られた佐賀県に伝わる郷土玩具です。ちょっぴりユルくて、愛らしいデザインが、多くの人の心を惹きつけています。もちろん私たちも一目惚れ!
弘安の役(1281年)蒙古襲来の際に、捕虜となった蒙古(現モンゴル)兵たちが神埼市神埼町尾崎地区で伝えたことが始まりとされていて、なんでも佐賀県内陶磁器の中で最も歴史的に古く伝統を残しているのだとか。

尾崎人形
約二十種類ほどある尾崎人形ですが、なかでも人気なのは「テテップゥ」と呼ばれる鳩笛です。胴体に穴が空いていて「ホーホー」と哀愁のある笛の音がします。

2009年、一度は途絶えた「尾崎人形」。62歳で継承した高柳さん。

尾崎人形
こちらが作り手の高柳さんです。尾崎人形の雰囲気そのままの朗らかさ!

尾崎人形(アーティストさんが高柳さんを描いた尾崎人形。ソックリ!)
700年以上伝わる「尾崎人形」ですが、2009年に唯一の継承者が亡くなってしまい、しばらく作り手不在だったことがあります。高柳さんは、最後の継承者のお手伝いをしていた経験もあり、地区の人たちから勧められてなんと2009年6月に62歳で継承することにしました。

「伝統を継承する」
それは我々が想像するよりもずっと大変なことのような気がします。しかも60歳を超えて継承するのは、大変だったと思います。当時は、これまでの尾崎人形と違うのでは?という声もあったそうです。
高柳さんは黙々と作り続けた結果、わずか10年もしないうちに、注文殺到・品薄状態の人気工芸品へと復活させ、さらには海外進出といった更なる可能性も広げました。作っているご本人がそこまで考えていたかどうかは謎ですが(笑)、高柳さんの尾崎人形を想う気持ちが人形に宿り、見る人を魅了したからではないでしょうか。

成形、焼き、絵付け。たった一人ですべての工程をこなす。

尾崎人形

尾崎人形
世界進出まで遂げた尾崎人形ですが、ひとつひとつ高柳さんの手づくりという点は2009年から変わりません。工房には、制作途中の尾崎人形が並んでいました。どんな風につくっているのか少し教えていただきました。
まずは石膏型に粘土質の土を入れ、成形し、乾かします。昔から伝わる形もあれば、高柳さんが作ったオリジナルの形もあるそうです。

尾崎人形
その後、電気釜で焼き、白塗りをします。

尾崎人形
こちらは、某企業から大量注文のあった鳩笛たち。これを一人で作るのですね…と考えたら、途方に暮れるな~と思ったのですが、これでもまだ注文数の5%の数も出来ていませんでした(笑)。
高柳さん、応援しています…!

尾崎人形

尾崎人形

尾崎人形
最後に絵付けです。高柳さんの尾崎人形はフォルムもかわいいですが、絵付けがとても素敵なんです。
お邪魔した時に絵付け場所に置いてあった、饅頭割り人形やムツゴロウ、お猿さん。団欒しているように見えせんか?!
高柳さんの尾崎人形には、そんなやわらかな空気感が流れているんです。

これら一連の作業をすべて一人でこなしているって、本当に尊敬です!

大忙しの高柳さんが、『さんち&箱庭』のために尾崎人形の白塗りを限定数ご用意してくれました!

180626WS_00
今回、高柳さんが忙しい中、尾崎人形に惚れ込んだ『さんち』と『箱庭』のために、尾崎人形の長太郎(白塗り版)を限定数ご用意してくれました。7/21(土)にそちらを使った絵付けワークショップを開催します!高柳さんの絵付けはもちろん素晴らしいのですが、自分たちで絵付けする体験というのはなかなかできないので、この機会にいかがでしょう。

尾崎人形
ちなみに高柳さんの工房に、同じ型で違う絵付けをされた尾崎人形が飾られていたのですが、どれもかわいいな~と感じたんです。

尾崎人形
今回、高柳さんはいらっしゃいませんが、みんな楽しんでね~とのことです。ぜひご参加くださいね!

    絵付けワークショップ

    ●日程:7月21日(土)

    ●時間:11:30〜, 14:00〜,16:30〜 定員各7名
    (受付は15分前より開始いたします)

    ●所要時間:80分程度

    ●開催場所:中川政七商店 表参道店
    東京都渋谷区神宮前5-43-7 1F
    http://www.yu-nakagawa.co.jp/p/2428

    ●当日の持ち物:絵の具を使用するため汚れても良い服装でお越しいただくか、エプロンをお持ちください。

    ●申込方法:以下よりお申し込みをお願いいたします。

    ※お申し込み後キャンセルされる場合は、必ずpeatixよりご連絡ください。
    ※当日の無断キャンセルは、キャンセル料100%がかかります。