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器の街・有田で出会った、自家製ベーグルとお菓子のお店「さわやま」
こんにちは、シオリです。
「#mediacruise」で行く、佐賀県有田町・嬉野市の旅。今回ご紹介するのは、器の街・有田で自家製のベーグルとお菓子を販売するお店「さわやま」さんです。
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「#mediacruise」とは?
地域とメディアを繋ぐ新しい取材のかたちを実現したい!という想いのもと、cocorone・灯台もと暮らし・箱庭・さんち・dripの5つのメディアが合同で地域の取材に行くという取り組みです。まだ眠っている地域のユニークな魅力と、私たちメディア、そして読者のみなさんをつなぐ新しいかたちの実現を目指して、クラウドファンディングを実施しました。(現在は終了)
【これまでの記事】
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「8」の形が印象的!さわやまさんの個性溢れるベーグル
こちらの窓が印象的なお店がさわやまさんです。2016年の1月8日、有田にオープンしました。あまりにも器が有名な有田町。取材では窯元や焼き物のお店がほとんどかな?と思っていたので、こんなに可愛らしいベーグル屋さんに出会えるなんて嬉しい驚きでした。
店内に入ってみると、落ち着いていて温かみのある空間。そして、まるで和菓子のように美しく並んだベーグルが私たちを出迎えてくれました。
よく見ると、「8」の形のベーグルが。
なぜ、8の形なのでしょうか?気になります・・・!
今回、店主の澤山和香子さんにお話を伺いました。
澤山さん「もともと自分が8という数字にゆかりがあったということと、このお店のオープン日が、ちょうど金曜日ということで決めたのですが偶然にも1月8日で。縁起の良い数字でもあるのでいいかなと思って、8の形のベーグルや8をデザインした手ぬぐいなども併せて作ったのが最初です。」
なるほど、8にご縁のあるお店なんですね!輪っかが二つ繋がったような形は、食べるときにもどこからかぶりつくか?ちぎってから食べるか?など、楽しめそうです。
パンという概念を持たずに作られるからこそ生まれる、自由な食材のチョイスと組み合わせ。
まずは形が気になってしまいましたが、ベーグルの味のラインナップも他ではあまり見たことが無いものが並んでいます。私たちが訪れた時にあったのは、「のり」「チーズ×七味唐辛子」「チョコ×おから」「コーヒー×練乳」など。ベーグルではあまり見たことない食材が見られますが、どれもとっても美味しそう!
澤山さん「ベーグルの素材には、両親や自ら育てている野菜や、コーヒーや紅茶、穀物・チーズなど佐賀県内や九州でモノづくりされている方の食材を使っています。常にいいモノが無いかな?と探しているのですが、何らかのきっかけで出会うことが多いです。唐津の七味唐辛子はおばあちゃんの畑を受け継いだ作り手さんのもので、人気がありなかなか手に入らないのですが、たまたまイベントでご一緒したことがきっかけでベーグルに使わせていただくようになりました。なるべく、佐賀のもの、九州のものを使えたらいいなと思っています。」
日々の中で地元の良い食材に出会って、それがまた美味しいベーグルになる。思わず、そんなお店近くに欲しい!と心の中で叫んでしまいました(笑)。季節のものを使っているので、その時によって店頭のラインナップが変わるそうですが、それもまた楽しいですよね。
食材自体も珍しいですが、食材の組み合わせもまた面白い。このようなユニークな素材の掛け合わせが生まれる理由は、店主・澤山さんのこれまでの経歴にありました。
澤山さん「私がパン屋さんで働いた経験がないからかもしれません。もともといろんなお店に食べに行くことが好きなんですけど、パンをいう概念を持たずに、ここで食べたこの組み合わせが美味しかった!と思ったものをベーグルにしているんです。」
パンの具材というところから離れると、こんなに自由な組み合わせが生まれるんだ!と思わせてくれるさわやまさんのベーグル。実際に味わってみても、新しい食材のマッチングの美味しさに、嬉しくなってしまいます。
そして、ベーグルだけでなく、やさしい味わいのお菓子も見逃せませんよ!
こちらは「あまじょっぱ」という名前の塩ビスケット。その名の通り、甘くてしょっぱい味が後を引くビスケットです。塩の美味しさがたまらなくて、有田に住んでいたら頻繁に買いに行ってしまいそう。箱庭ではこちらのあまじょっぱを、#mediacruise のおみやげ企画でピックアップさせていただきました。
カップケーキもかわいいです。おやつにちょうど良さそうなサイズ感もいいですよね。おもたせにしたら、喜んでもらえそう。(※カップケーキは10月~4月頃のみの販売となります)
有田で仕事をしている中で、周りの後押しがあって踏み出したお店づくり
パン屋さんで働いたことがないという澤山さん。それでは、どのようにしてベーグル屋さんを開くことになったのでしょうか?
澤山さん「有田にお嫁に来たのがきっかけで、焼き物の博物館で働き始めました。その時一緒に働いていた方が同じ時期に有田焼の窯元に嫁がれました。その繋がりで、そちらの焼き物屋さんでも働かせていただくことに。最初は事務をやっていたんですが、そのうち絵付けをするようになりました。大学が家具選考でしたが芸術系だったので絵を描くことは好きで、絵が好きならやればいいじゃないと勧められて。
そうして絵付けの仕事をしているときに、職場に手作りのお菓子やパンを差し入れなどで持っていっていたんです。そしたら、会社の方に自分でお店やってみればいいじゃない?と言われて。それでお店を開くことにしたんです。
ちょうど同じ会社からいろんな方が独立されていって、活躍されているのを見ていたので、私もやってみたいなと思いました。それもあったのかもしれないです。」
実は、その絵付けをされていた会社というのは、先日箱庭でご紹介した陶悦窯さん。こちらの花瓶として使われている美しい器に見覚えがあるという方もいらっしゃるかもしれませんね。このように、さわやまさんの店内にさりげなく置かれていたものだったんです。ここでの素敵な佇まいに感動し、その後訪れた陶悦窯さんでお話を伺ったという嬉しい出会いでした。
少し話がそれてしまいましたが、そんなパン屋さんとはまったく異なる経歴を持ち、「だからどこかパン屋さんらしくないお店になっているかもしれないですね。」とおっしゃる澤山さん。パン屋さんの枠に収めようとしていないからこそ、オリジナルな魅力を醸しているんだなと感じました。
パン屋さんらしくないところは、店内のインテリアや商品のラインナップにも。ところどころに置かれている焼き物も素敵なものばかりだし、その他のアイテムにもどこか遊び心があって、見つけると「これは何で?」と思わずお話を聞きたくなってしまうんです。
こちらは、束子?!確かにベーグルと似ているかも。
傘立ても素敵。焼き物の傘立てはさすが有田!という感じですね。ご主人が作られたものだそう。
これはベーグルが置かれているの?と思いきや、食品サンプルなんだそう!本物そっくりなので、品切れのときに「まだこれが残ってますよね?」と言われてしまうほど。
この食品サンプルは、先日箱庭でご紹介した有田のセレクトショップ・BOWLさんに置いてあった秋刀魚のマグネットと同じ、波佐見町にある日本美術さんのものなんだそう。有田に遊びにきて、さわやまさんのベーグルで食品サンプルを作りたいと申し出があったんだとか。実際に出来上がったものが可愛かったので、それからお店で販売するようになったそうです。
もちもち&ぎゅっと引きの強いベーグルの秘密は、そうめん?!
そして気になったのが、そうめんが置かれていること!
ベーグル屋さんになんでそうめんが?
澤山さん「島原の私の実家がそうめんを作っていて、ここのベーグルはそうめんの粉を使っています。そうめんづくりは伸ばしては寝かせてを繰り返しながら、合計で16時間以上寝かせます。その工程をしないと、湯がいた後にちぎれてしたり、のびやすかったりする麺になってしまうんです。
ここでも、同じ工程でベーグルを作っています。だから普通のベーグルと違って、もちもちして引きの強さを味わえる生地になっているんです。」
16時間も寝かせるんですね!それだけ生地の仕込みに時間がかかることもあり、お店の営業は金土日だけ。毎日食べたいと思ってしまいますが、丁寧に作られていることを知ると、待つのも楽しい時間になります。
ちなみに、私たちが知っている細く長いそうめんの横に置かれていた“バチ”というものは、そうめんを作るときに切り落とされる部分。そうめん屋さんやその産地では味噌汁に入れたり離乳食にしたりして、よく食べているそう。最近は買いたいという方も増えたので、パッケージのデザインをオリジナルで作って、こうしてお店に並べているんだとか。
ベーグルやお菓子をはじめ、店内のところどころに澤山さんご自身のストーリーが詰まっているお店でした。
お話を伺っていて感じたのは、このお店がただベーグルを並べた“ベーグル屋さん”なのではなく、澤山さんが良いと思う食材、さらには良いと思ったモノ・コトまでをベーグルやお菓子、そしてこの店頭に落とし込んでいるお店なんだ、ということ。
だから、一度訪れたらまた行ってみたいなぁという気持ちになるお店になっているのではないでしょうか。みなさんも有田に訪れたときには、器巡りの合間に、ぜひさわやまさんへ遊びに行ってみてくださいね。ほっとするひとときを過ごせるはずです。
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自家製ベーグルとお菓子のお店 さわやま
住所:〒844-0017 佐賀県西松浦郡有田町戸杓丙575-1
営業日:毎週 金土日
営業時間:10:00~18:00 (都合により休みになる場合があります。電話またはホームページ・FBにてご確認下さい。)
TEL:0955-42-5394
駐車場:有り
http://sawayama.blue/