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週末読みたい本『美術館へ行こう―ときどきおやつ―』
こんにちは、箱庭編集部みのりです。
みんなが大好きな場所、美術館。美術館と一言でいっても、誰もが知っている大きな美術館からこぢんまりとした小さな美術館まで、実にさまざま。今日ご紹介するのは、名の知れた場所ではないけれど、存在を知ったらきっと足を運んでみたくなる、魅力あふれる小さな美術館に焦点を当てた『美術館へ行こう―ときどきおやつ―』です。
本書は、人気スタイリストの伊藤まさこさんが選んだ、個人美術館から文学館まで24の“小さな美術館”を紹介する一冊。エリアは北海道から鹿児島までの広い範囲ですが、共通するのは、そんなに大きくなくて、街に馴染んだ居心地のよい場所だということ。あわせて、お土産やカフェなどの“鑑賞後のおたのしみ”も紹介されています。掲載されている場所はどこも素敵で、ひとつひとつ訪れて見たくなるものばかりですが、今日はいくつかピックアップしてご紹介したいと思います。
六花の森(北海道河西郡中札内村)
お菓子のおいしさはもちろん、花柄の包み紙がほっこりと温かい気持ちにさせてくれる、北海道を代表するお菓子屋さん「六花亭」。ここのお菓子のファンだというも多いのでは?とかち帯広空港から車で15分ほどの場所にある「六花の森」では、画家の坂本直行さんが六花亭のために描き下ろした花々の壁紙で埋めつくされた「花柄包装紙館」が佇んでいるそう。展示されている原画のレプリカを見てみると、絵をひとつひとつ切り離し、さらに台紙の上に置いてレイアウトする、地道な作業の様子が伺えるのだとか。
六花の森には、「坂本直行記念館」など他にも7つの小さな美術館があるそう。森を歩きながら美術館めぐりを楽しめるとは、なんて贅沢で素敵な場所なんでしょう!森を歩きまわったあとに楽しめる、「六’café(ロッカフェ)」も紹介されていました。ここでいただけるというマルセイアイスサンドも必見。六花亭ファンとして、いつか一度は訪れてみたいと思いました。
岩立フォーク テキスタイル ミュージアム(東京都目黒区)
次に気になったのは、東急東横線・大井町線自由が丘駅のすぐ近くにある、「岩立フォーク テキスタイル ミュージアム」。館長の岩立広子さんが世界中から集めた布が展示されている個人美術館だそう。大学で染織を学び、卒業後の進路に迷っていた時、アメリカや中南米へひとり旅に出たという岩立さん。その旅から50年、世界中を旅して集められた布たちを収めるこのミュージアムは、岩立さんの人生そのもののようだといいます。
伊藤まさこさん曰く“一度に咀嚼できるくらいのちょうどいい量”だという、岩立さんのミュージアム。そこには大きな美術館とはまた違った魅力が詰まっていそうです。自由が丘はよく遊びにいく場所だけど、こんな素敵な美術館があるなんて知りませんでした。
「気軽に美術館に立ち寄れたらいいなぁと思っています。明日の朝ごはん用のパンを買いに行ったりする感覚で。」という伊藤まさこさんのように、私もふらっと立ち寄ってみたくなりました。
丸亀市猪熊弦一郎現代美術館(香川県丸亀市)
最後に紹介するのは、伊藤まさこさんが“時々、無性に訪れたくなる美術館”だという、「猪熊弦一郎現代美術館」。1991年に丸亀市の依頼で画家の猪熊弦一郎氏の全面協力のもと、開館したそうです。猪熊氏が理想の美術館像を表すときに用いた「美術館は心の病院」という言葉が示す通り、気軽に訪れやすいアクセスのよい駅前にあります。日常とは違う美しい空間を目指し、建築や展示内容にも徹底的にこだわったそうです。
時々、高校生が電車の待ち時間に立ち寄ることもあるというこちらの美術館。なんと18歳まで無料で入ることができるのだとか。本書に書かれたその理由が、とても深くいいお話だったので、みなさんにもぜひ確認してもらいたいです。
本書で紹介されている24の美術館は、先ほどご紹介した猪熊弦一郎氏の「美術館は心の病院」という言葉のように、のんびりできて、元気をもらえそうな、素敵な場所ばかりでした。ぜひ本書を手に、小さな美術館を訪れてみてもらえたら嬉しいです。鑑賞後のお楽しみもお忘れなく!
美術館へ行こう: ときどきおやつ
出版社: 新潮社
著者:伊藤まさこ
発売日:2018年4月26日
仕様:A5判・160ページ・オールカラー
定価:1,620円(税込)
ISBN: 978-4-10-313874-7
URL:http://www.shinchosha.co.jp/book/313874/