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山小屋を目指して山に出かけてみたくなる、16の物語。

こんにちは!箱庭編集部みのりです。
今年ももうすぐ山の日がやってきますね。国民の祝日に制定されてから3度目の今年の山の日、みなさんはどのように過ごしますか?山に出かけるのは難しいという方は、自宅でゆっくりと山に関する本を読んでみるのもおすすめです。そこで今日は、山気分を存分に味わえるとっておきの一冊をご紹介したいと思います!

山小屋をこよなく愛する、編集者と写真家によるフォトエッセイ集

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昭和の大作曲家、米山正夫さんのヒット曲『山小屋の灯』からタイトルを取った本書。山にまつわる多くの書籍を手がけてきた編集者の小林百合子さんと、山や自然をテーマに作品を発表してきた写真家の野川かさねさんによるフォトエッセイ集です。山好きの方なら、お二人のことはきっとご存じですよね。
お二人がこれまで歩いた山と滞在した山小屋でのエピソードを、野川さんによる美しい撮り下ろし写真と、小林さんの情感豊かでときにユーモアたっぷりの文章で紹介しています。

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登場する16の山と山小屋は、東京から日帰りで登れる高尾山、温泉を楽しめる東北の山から、山々が果てしなく連なる北アルプス最奧まで、実にバラエティ豊か。登山経験豊富な方からビギナーの方まで、誰でも楽しめる一冊です。それでは、いくつかの山小屋のエピソードを覗いてみましょう!

高尾山・城山茶屋

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お二人が花見の季節になると出かけるのが、高尾山。高尾山の展望台から陣馬山へ向かう途中にある城山茶屋で、おでんとなめこ汁、お酒を楽しむのが定番スタイルだそう。ご主人の尾嶋さんに伺った、絶品の味に隠されたエピソードも載っていて、読んでいるうちにお腹が空いてきそうでした。

山小屋と聞くと、ちょっとハードル高く感じてしまいますが、お花見目的で日帰りでも楽しめると思うと親しみが沸いてきます。

尾瀬・駒の小屋

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尾瀬にある駒の小屋は、自炊スタイルのめずらしい山小屋で、料理に苦手意識のある小林さんはここを訪れるまでずっと行くのが憂鬱だったのだとか。10月中旬の冷え込む山の夜にと、小林さんが用意したのは、チゲ鍋。作ってみるとこれがなかなかの出来栄えで、他のお客さんたちと食卓を囲んで食べるスタイルも楽しく、自炊の小屋の魅力にすっかり目覚めてしまったそうです。

ここの山小屋の主人・三橋さんが食事を提供しない理由も載っているのですが、その答えがとても素敵でした。ぜひ、その理由を確認していただきたいです!

山の鼻小屋・尾瀬

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もう一つ、尾瀬のエピソードをご紹介。尾瀬に入るとお二人が自然と探してしまうのが、ツキノワグマと、尾瀬で40年以上写真を撮り続けるカメラマンの花畑日尚さんなのだそう。何度も尾瀬で顔を合わせるうちに打ち解け、山の鼻の小屋でお酒を飲む仲に。申し合わせなくても、雪解けや花、紅葉のいい時期にはいつも花畑さんの姿があり、この時期で間違いなかったと告げてくれる、「季節の使者」なんだそうです。

本書では他にも、山小屋でのたくさんの人との出会いや、共有した時間が記されています。あの山小屋に行けばあの人に会えると思いながら山に登るなんて、とても素敵だと思いました。

詳細情報を参考に、山小屋を訪れてみよう!

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巻末には、登場した山小屋の詳細情報やルート情報、地図なども収録されています。「地元のワインやお酒が豊富に揃っていて、飲んべえにはたまりません」などのお二人ならではの情報も。訪れてみたい山小屋が見つかったら、こちらを参考に計画を立ててみましょう!

山小屋と一言でいっても本当に多様で、それぞれのご主人が大切にしているものがよく表れた場所だということを感じた一冊でした。
ここ数年は高い山ばかりを目指してきた私ですが、山小屋を目的にした、ゆったりとした山登りもしてみたくなりました!山小屋で過ごす時間に目を向けてみると、山頂とはまた違った景色が見えてきそうです。山の日に合わせて手に取り、みなさんにも山小屋の魅力を感じてもらえたら嬉しいです。