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週末読みたい本『タータン 伝統と革新のデザイン』
こんにちは、箱庭編集部 moです。
みなさんはどんな柄がお好きですか?ドットやストライプなど様々な柄がありますが、冬の時期はやはり特にチェック柄が気になります!その中でも“タータン”に着目した1冊『タータン 伝統と革新のデザイン』がとても興味深かったので今日はみなさんにご紹介したいと思います。
図版約100点、オール4色解説付のタータン本の決定版!
スコットランド独特の織物柄として発展したタータン。誰もが知っている普遍的な柄でありながら、他のさまざまな格子柄とどう違うのか、どのようにつくられているのか、などタータンに関して意外と知らない知識があるはずです。本書はそんなタータンを1から知ることが出来る、内容の詰まった1冊です。
登録制の仕組み、色彩構成、製造方法など歴史的背景や定義をはじめ、豊富な図版による柄の解説、風刺画など美術作品、日本での広告等での使用例など、その伝統と革新の世界を紹介する決定版となっています。とてもボリュームがある1冊となっていますので、今日は気になったコンテンツをピックアップしてご紹介したいと思います。
そもそも、タータンって?
はじめにタータンの基礎知識が掲載されていますが、私たちがよく耳にする「タータン・チェック」というのは和製英語であり、チェックには様々な種類があるため一概にタータンというのは間違いだそう。
正式なタータンの定義は「2色以上の色をつかい、それらの糸が直角に交わる格子柄であること」、「たて糸とよこ糸につかう糸の色と数が同じで、基本パターンが繰り返されること」。この条件を満たし、スコットランド・タータン登記所に申請が通ったもののみ、正式なタータンといえるそうなんです。申請する際に基本パターンである「セット」(使用する糸の色と数)も記載する必要があるんだとか!
今まで何も知らずに「タータン・チェック」と呼んでいたので、このようなルールとともに、登録制だったことに驚きです!
目的や用途で分類されているタータン。
タータンには様々な種類がありますが、スコットランドの由緒ある氏族の家族が身につけられる〈クラン・タータン〉、王室が用いてきた〈ロイヤル・タータン〉など、目的や用途によって柄が異なるそう。登録制な上に、そんな分類があったとは全く知りませんでした!
こちらは〈ディストリクト・タータン〉。ディストリクト=地域、という名がついているように、極小の村や谷間、湖、大都市など地理的に特定できる場所と関係して作られた柄だそう。
スコットランド最大の都市・グラスゴーや、首都・エディンバラなど同じスコットランド内でも柄の表現がこんなに違うのがおもしろいです。色合いや織り方で、「こんな地域なのかな…?」と想像を膨らませたくなります。
近年では、多くの企業や機関が自社の製品やサービスをブランディングするために〈コーポレート・タータン〉を作っているケースも多いそう。上の写真は日本の企業であるトンボが、2015年に制作したオリジナルタータン〈トンボ・ハウス・タータン〉。トンボブルーを基調とした配色が素敵です!
このほか日本では〈Hello kitty Red〉や〈ブルドックソース・タータン〉など正式にスコットランド・タータン登記所に認定されたタータンがいくつもあるそうです。何気なく見ていたタータンですが、こんなふうに柄や色合いにもそれぞれの意味や思いが込められていると知り、奥深さを感じました!
日本とタータン
日本とタータンの歴史を遡ると明治時代にすでにタータン文化は日本に伝わっていたんだとか。こちらは1956年の帝國人絹の雑誌広告ですが、現代と変わらないデザインのように感じ、とてもおしゃれです!
こちらは1960年代からシューズデザイナーとして活躍した高田喜佐氏のシューズ。マニッシュでスポーティーなデザインはどれも可愛い〜!
このほかにも明治や大正などに使われていたタータンのファッションが掲載されていますが、どれも素敵でモダンに感じるものばかりでした。タータンがどの時代でもどの世代にも愛され続ける柄だということがとてもよく伝わりました。
知るとますますタータンが好きになる!
今回は気になったコンテンツをいくつかピックアップしてご紹介しましたが、このほかにも製造方法や歴史などタータンのあらゆる魅力がぎゅっと詰まった1冊です。自分が持っているアイテムの中にも、正式なタータンはあるのか、それはどんなタータン柄なのか、ちゃんと知りたくなりました!
きっとますますタータンのことが好きになる1冊です。気になった方はぜひチェックしてみてくださいね。
展覧会も開催中!
本書とリンクした「タータン 伝統と革新のデザイン展」が2018年 9月15日(土) 〜2020年3月1日(日) まで全国5都市を巡回中です。東京では三鷹市美術ギャラリーで2月17日(日)まで開催中だそう。気になった方は本書と併せて展覧会も要チェックです!
タータン 伝統と革新のデザイン
著者:三鷹市美術ギャラリーほか
出版社:青幻舎
定価:2,315円+税
仕様:A5変型、196ページ、並製本
ISBN978-4-86152-692-3 C0071
http://www.seigensha.com/books/978-4-86152-692-3
タータン 伝統と革新のデザイン展
三鷹市美術ギャラリー 2018年12月8日〜2019年2月17日
岩手県立美術館 2019年4月13日〜2019年5月26日
久留米市美術館 2019年9月21日〜2019年11月4日
新潟県立万代島美術館 2019年12月14日〜2020年3月1日