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週末読みたい本『もじもじもじ鉄 鉄道の書体とデザインほぼぜんぶ』
こんにちは、箱庭キュレータのカナコです。
以前、箱庭で著者の石川祐基さんにインタビュー(前編/後編)した、全国の駅名標の書体やデザインに注目した『もじ鉄』。ついに、待望の第二弾が出版されました!「本は二度と作らない」と思ってしまうくらいにこだわり抜いた前作と同様、細部まで丁寧に作られた、その名も『もじもじもじ鉄』。
さっそく中身を見てみましょう〜。
鉄道のフォントやデザインに携わる方々に取材。門外不出の貴重な資料も盛りだくさん!
前著では、石川さんが全国を周り撮影した駅名標をユーモアたっぷりにご紹介していましたが、本書では、駅のサインができるまでを“中の人”に実際に聞いてみたという、さらに「もじ鉄」の世界を深掘りする内容になっているんです!
「なぜ、この書体でこのデザインなの?」という疑問を、駅のサインを手がけているデザイン会社・鉄道会社の方々に投げかけ、制作の裏側や秘話などをインタビュー。普通では見られない貴重な資料も数多く掲載されています。
こちらのインパクトある文字たちは、かつて京急の駅名標に使われていた書体だそう。(現在の駅名標は新デザインになっています。)
なんと、書体はオリジナルで、1つ1つ作字されているんだとか!
こちらが、京急駅名標書体の作字過程の様子です。フォントって、こんなに細かく設計されているんですね!
一文字一文字、丁寧に作られたことに想いを馳せると、フォントへの愛が深まります。
湘南モノレールのロゴタイプの比較も興味深いです。
当たり前のように目にするロゴタイプも、細やかな仕事の積み重ねだということがよく分かります。微細な調整の結果、現代的なスッキリとしたデザインになっていますね。
駅名標がロゴになっている、珍しい事例も紹介されています。東急電鉄の戸越銀座駅は、2018年に木を活かした駅舎にリニューアル。その際、モダンな「ロゴ駅名標」が作られたんだとか。駅舎の屋根の形に合わせたという三角形のシンボルマークも目を惹きます。クラシックな駅舎にあえてオリジナルのモダンなフォントを使い、「目に残りやすい」効果を狙っているそう。
こちらは、都営三田線の駅名標が時代ごとに移り変わっている様子です。
現在のバージョンは、パソコンで入力できる新ゴのフォントを採用してるんだとか。時代に合わせて、密かに進化し続けているんですね〜。
駅名標だけでなく、駅の様々なサインにも注目。
普段何気なく見ている総合案内板にもさまざまなこだわりが詰まっているんです。今度電車に乗るときには、もっとよく見てみよう!と、いつもとは一味違う目線で鉄道や駅を楽しむきっかけになるかもしれませんね。
車両に描かれたフォントも見逃しません。
号数表示やドアシールに至るまで、見る人のことを想って細やかなデザインがなされていますよ。
このような詳細な資料とともにデザインの秘密を知ることができるのも、石川さんが丹念にインタビューを行ったから。
なんと今回、『もじもじもじ鉄 鉄道の書体とデザインほぼぜんぶ』の取材風景や制作過程が収められた動画が公開されているんです。
動画も、書籍同様ユーモア溢れる内容ですよ!あわせて楽しんでみてくださいね〜。
地下鉄サインの進化やフォントの比較など、この本でしか楽しめないコンテンツが満載
駅名標のみならず、路線図も日々見やすく進化しています。
現在地や進行方向、乗り換え、日英表記など、サインの中でも特に情報量の多い路線図は、そのデザインの多様さから専門の趣味分野もあるんだとか?!
「フォントメーカー別駅名標図鑑」なるものも掲載。
フォントメーカーによって、駅名標の印象がガラリと変わっていて、とても面白いですよ。ちなみに、シェアNo.1はJR東日本でも採用されている「モリサワ」なんだそう!
「パシャパシャ撮らせて!映えるサイン」では、全国のイイ感じのもじ鉄スポットを紹介してくれています。こちらの青森県弘前市を中心とした「弘南鉄道」には、味のあるレトロなフォントが満載。かわいいフォントを探しに、思わず現地に行ってみたくなりますね。
それにしても、1ページ1ページのデザインのこだわりもすごい!そして石川さんの絶妙な文章も素敵で、読むのが楽しいですよ。
最後は、「いろいろ聞かせて!!鉄道ファン」のコーナーがあり、鉄道やフォント好きな方へのインタビューを掲載。「もじ鉄愛」が溢れる締めくくりとなっていました。
日常に散りばめられた素敵なデザインに気づかせてくれる一冊
駅名標、乗り場案内、路線図など。日常生活で目にしていても、見逃しがちなデザインの魅力を存分に教えてくれる『もじもじもじ鉄 鉄道の書体とデザインほぼぜんぶ』。
鉄道に詳しくない方でも楽しめる内容になっていますよ。
ぜひ手にとって読んでみてくださいね〜。
もじもじもじ鉄 鉄道の書体とデザインほぼぜんぶ
著者:石川祐基
判型:A5判 並製
ページ数:192ページ(オール4C)
税込価格: 1836円
発行:株式会社三才ブックス
発行日:2019年2月1日
発売日:2019年1月25日
ISBNコード:978-4-86673-102-5