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こんにちは、箱庭編集部 moです。
東京に住むようになって、素敵な喫茶店がたくさんあることを知り、純喫茶巡りが趣味になりました。雑誌やSNSで素敵な純喫茶を探しては休日のたびに訪れていますが、まだまだ行きたいお店は尽きません…!そんな中、気になる本を見つけました。純喫茶のインテリアに着目した1冊『純喫茶の空間 こだわりのインテリアたち』です。

美しい純喫茶の空間の魅力に浸れる1冊

本書は、以前箱庭でもご紹介した『クリームソーダ 純喫茶めぐり』の著者である難波里奈さんが、全国1700軒以上の純喫茶を訪れた中から、都内の純喫茶34軒を厳選、空間に馴染むインテリアやこだわりの内装にスポットを当てて記録・紹介した1冊です。
昭和の面影を色濃く残し、居心地のよい空間で人々を惹きつけてやまない純喫茶。現在では決して再現できない内装や店主のこだわりが詰まった「そこでしか味わうことのできない空間」に浸れる1冊となっていますよ。早速内容を見てみましょう〜!

魔性の味 コーヒー オンリー

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まず目に留まったのは、南千住の「魔性の味 コーヒー オンリー」。浅草に2店舗あるオンリーからのれん分けのような形で開店したというこちらのお店。マスターはカメラマンの経験があるそうで、カメラを通して見たときのような奥行きや高さ、配置バランスを考えて店内を造ったんだとか。ストライプの壁、孔雀色のフェルトが貼られた腰壁、角がアールになった赤い縁取りの窓枠など、絶妙なバランスの空間が紹介されています。

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ストライプの壁と、コロンとした球状の照明の組み合わせも素敵です。レトロな懐かしさを感じるレジや窓に描かれた店名ロゴなど、心くすぐるポイントが紹介されています。

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各店舗の「素敵な模様コレクション」も注目です。自分だったら見逃してしまいようなカウンター横の壁の模様や、椅子の模様など、じっくり見てみると面白い模様がたくさん!改めて、純喫茶は細部に至るまでこだわりが詰まっているんだなぁと感じます。

コールドンブルー

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こちらのお店は三ノ輪にある「コールドンブルー」です。クリーム色を基調とした、自然光も差し込む明るい店内と、長年大切に使われていることがわかるつやつやした飴色の椅子が素敵です!

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設計から椅子、照明などのインテリアの設計は全て店主の親戚の方によるものなんだとか。壁に取り付けられた青色と橙色の丸い照明器具は今では壊れて電気はつかないそうですが、色褪せない魅力があり、まさにここでしか味わうことのできない空間です。

名曲喫茶ライオン

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渋谷のネオン街にある「名曲喫茶ライオン」は、著者の難波さんが純喫茶の魅力に夢中になったはじめの頃、最も衝撃を受けたお店だそう。1階も2階も、正面のスピーカーに向かって同じ方向に並べられている椅子が特徴的で、美しい音楽が響きます。また美しいヨーロッパ風の内装は全て初代店主が手がけたものなんだとか。
現在は撮影や大きな声での会話が禁止とのことなので、ゆったり音楽に聞き入りながら静かに過ごしに行ってみたくなります。

アンヂェラス

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最後にご紹介するのは、先月惜しまれつつ閉店した浅草の名店「アンヂェラス」。創業72年の老舗で、文豪たちに愛された店内は、初代店主の奥様がクリスチャンだったことから十字架がくり抜かれた椅子やテーブル、オリジナルの鐘の絵柄が描かれたステンドグラスなど、教会風の装飾が魅力的な空間です。残念ながらもう行くことは出来ませんが、本書を通して店内に満ちる文化の薫りや、空間の雰囲気を味わうことができます。

実は、本書の取材時には閉店の気配は全くなかったそう。昭和の頃とは時代背景も変わり、こうして閉店していく純喫茶もこれから多くなるかもしれません。なくなってしまう前に、今だからこそ楽しめる純喫茶の空間に是非浸ってみたいと感じる1冊でした。

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都内の純喫茶34軒の紹介に加え、「店名ロゴコレクション」「照明コレクション」といったコラムも面白いです。レトロで個性豊かで秀逸なデザインをじっくり楽しんでみてください。文字好き・デザイン好きのみなさんにとってたまらない内容だと思いますよ!

いかがでしたか?普段純喫茶を訪れるだけでは知りえなかった創業の経緯や空間作りを知ることができ、改めて純喫茶の奥深さ、1つとして同じ空間がないということの面白さに惹き込まれました。インテリアだけでなく、所在地MAPや著者おすすめのメニューなども綴られているので、純喫茶を訪れる際の案内書にぴったりです。
わたしも知らなかったお店がいくつもあり、足を運んでみたくなりました〜!これから暖かくなってお出かけが楽しくなる季節です。是非本書をチェックしてお出かけの参考にしてみてくださいね。