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167のアイデアが凝縮!高密度なデザイン資料集。

こんにちは、箱庭編集部 moです。
今日はクリエイターやデザイナーのみなさんのアイデアのヒントになりそうな1冊『デザイン・メイキング167 デザイナーのラフスケッチ実例集 Vol.2』をご紹介します。

本書は、デザインの課題を解決した発想とプロセスがわかる、圧巻の見本帳シリーズ『デザイン・メイキング』の第2弾として発売された1冊。最前線で活躍する139組のアートディレクター/デザイナーが手がけた167のデザイン作品が掲載されています。

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本書は作品のアーカイブだけでなく、その制作過程で作成されたラフスケッチ、アイデアメモ、カンプ、企画書などの実例が紹介されているのが最大のポイント!
例えばBYTHREEさんが手がけたこちらのマナーキャンペーンポスターでは、左ページにアイデアラフ、右ページに完成作品が載っています。

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ラフの段階でのデザインの構成やコピー案など、実際のデザインの制作の裏側を見ることができる点がおもしろいです。ラフからどのようにブラッシュアップしたのか、どの案が採用されたのかなどを完成品と見比べられるので、今後のデザインや企画の参考になること間違いなしです!

本書はデザインに携わる方、デザイナーを目指す方はもちろん、さまざまな業界のビジネスパーソンにおすすめの貴重なデザイン資料集です。パートごとにジャンル分けされて紹介されているので、今日はその中から気になるものをピックアップしてご紹介したいと思います。

PART1 広告/ビジュアル

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こちらは太田市美術館・図書館で開催された「本と美術の展覧会」のビジュアルデザインのカンプと完成作品。アートディレクターは平野篤史さんです。「ことばをながめる、ことばとあるく」という文字を使ったデザインですが、カンプの段階では大きさがバラバラだったものが、完成品では同じマスの中で整列したデザインになっています。カンプの段階でも素敵なデザインですが、完成作品を見ると、文字が太くなり、カラーもハッキリした色合いに変化したことで、より「ことばをながめる、ことばとあるく」が引き立ちメッセージ性が強くなったように感じます!

PART2 ブックデザイン

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こちらは、写真家・今城純さんの写真集『Pastel wind / Jun Imajo』のブックデザインの原稿と完成作品。天宅正さんが手がけたものです。今城さんの「まるで色鉛筆で丁寧に描かれた、繊細でカラフルな風景だった」という話をもとに、撮影された写真をそのままモチーフにして、グラフィックとして表現したそう。
また原稿はモノクロで、印刷での色調整を徹底したという裏話も記されていました。ただ見るだけでも素敵な装丁ですが、背景を知ることで今まで知らなかった魅力に気付けるような気がします。また、クライアントの想いをどのような形でデザインに落とし込むのかというアイデアのヒントにもつながりそうです!

PART3 シンボル&ロゴタイプ

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岩田和憲さんによる和菓子屋「餡の輪」のロゴのラフデザインと完成作品。まずラフの段階でこんなにも沢山アイデアがあるということに驚きです!一つ一つ、少しの配置やフォント、組み合わせが違うだけで印象が変わるのが良くわかります。和菓子は小豆から始まり、その一粒が輪を拡張させていくというイメージで試作をしたというこちらのデザイン。完成したデザインはやはり洗練されていて、和と洋の匂いを感じるとても素敵なロゴだと感じました。

PART4 パッケージ/グッズ/プロダクト

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多くの人に愛される図案スケッチブック。このページでは、小野圭介さんがデザインした60周年記念アイテムの「60th」という文字のちぎり絵が紹介されています。
まず今でもこのようにアナログな方法でデザインされていたということに驚きです!味わい深く馴染みもある文字はこうして作られていたんですね。実際の文字の元となったちぎり絵を見られるなんてことも滅多にないので、とても貴重な資料ではないでしょうか?

PART5 ブランディング/総合ビジュアル

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最後にご紹介するのは、石原絵梨さんが手がけているカプセルトイ「もちばけ」の企画とデザイン。ラフスケッチにはどんな「おもち」を「おばけ」にするか、どんな性格にするかなど様々なアイデアが描かれているのが分かります。キャラクター開発からPOPまで一貫して制作しており一つの和菓子屋をつくるイメージで、全体のトンマナを揃えているんだとか。完成したPOPを見ると、実際に和菓子としても美味しそうな「もちばけ」ばかり…!立体になる前のイラストを見られるのもおもしろいですし、こういったキャラクターがどのように生まれるのかも今まで知らなかったのでとても興味深い内容でした。

カバーデザインにも注目!

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本書のカバーデザインは、ラボラトリーズの加藤賢策さんが担当しています。デザイナー心をくすぐるポイントやこだわりが詰まっているので、クリエイターやデザイン好きの皆さんはカバーにも注目です!

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「青焼き校正」をモチーフにしたというカバーデザイン。印刷がかすれたようなムラのあるテクスチャや、版ずれ、にじみ、汚れといった演出が施されています。

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サインペンで書いたようなツヤのある赤字は、蛍光系の特色とグロスニスにより表現したそう。

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さらに、帯を外すとそこには「責了」印も! デザイナーのみなさんはニヤリとしてしまいそうなデザインです。

いかがでしたか?今回ご紹介したのは167あるデザイン作品のうちのほんの一部。どれも今後の企画やデザインのヒントになりそうな実例ばかりでした!気になった方は、ぜひ書店で手に取って実物を見てみてくださいね〜!