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プロのコピーライター124人が選んだ、珠玉の広告コピー。

こんにちは、箱庭編集部 moです。
今日ご紹介する週末読みたい本は『名作コピーの時間』です。
本書は、クリエイティブの専門誌、月刊『ブレーン』の人気連載「名作コピーの時間」を書籍化した1冊。「想像力と数百円」「触ってごらん、ウールだよ。」「プール冷えてます」などなど、プロのコピーライター124人が、自分にとっての「名作」コピーを3本ずつ選びます。

心に刺さり、今でもお手本になるコピー。プロのコピーライターでさえ「自分では絶対に書けない」と言わせるコピー。プロの目から見た数々の名作コピーを、エピソードとともに振り返った内容となっています。
じっくり読んでいただきたい1冊ですが、今日は少しだけ内容をピックアップしてご紹介したいと思います。

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「そうだ京都、行こう。」
言わずと知れた名コピーなので、コピーに馴染みのないみなさんもこちらは耳にしたことがあるのではないでしょうか?本書でも、多くの方がこちらを選んでいます。

このコピーを選んだうちの1人、京都出身の岡野草平氏は、正直初めて読んだときは何がいいか分からなかったそう。でも上京して13年経った今ではもう、このコピーが心に刺さりまくり、今すぐ京都行きたい気持ちになっているのだとか。コピーは生き物だなぁ。と、しみじみ感じているそうです。

このように選出したコピーライターたちのエピソードも興味深く、納得したり通ずる部分もあったりしてとても面白いです。

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「恋は、遠い日の花火ではない。」
こちらは1995年、サントリー ニューオールドのCMで使用されたコピーですが、実は私は本書を読むまでこのコピーを知りませんでした…!CMが放映された当時は私はまだ小学校低学年だったので、見ていてなかったかもしれません。
本書の中で多くの方が選出していたので、気になったコピーのひとつです。

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このコピーが多くのプロのコピーライターの胸に刺さり、今でも心に残っていると知り、なんで自分はこのCMを見ていなかったんだろう…!と悔しくなりました(笑)。
コピーだけでもちろん素晴らしいですが、きっと映像と共に1つの作品なので、その時代に実際に見てみたかったなぁと思います。

今まで知らなかったコピーに出会い、多くの人の心に突き刺さるコピーを知ることができるのも本書の魅力です。

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また面白いなぁと思ったのは、公庄仁氏の選んだ「ねるねるねるね」と「タラタラしてんじゃねーよ」です。私も幼少期にお世話になったお菓子ですが、公庄氏の家族のエピソードやネーミングに対しての推察もおもしろいので是非読んでいただきたいです。

こういった日常的に見ていて強く意識していなかった商品なども、確かにずっと記憶に残っていて、素晴らしいコピーだったんだなぁと再確認しました。
本書を読むことで、感動で心に突き刺さるコピーだけでなく、普遍的に人々に浸透しているコピーにも改めて気付くきっかけになるのではないでしょうか。

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この本はある意味で「名作コピー集」であるけれど、それだけじゃない意味がある。どんなコピーが、誰をどれだけ震わせたか。それだけでもなくて、悩ませたり苦しませたりしたか。羨望はエネルギーになるだろう。届かないという絶望も。それがなければ、いつか届きたいという希望も生まれないし、傍観者で終わるだけだから。そんな想いも、みんな率直に吐露している。コピーの「青春白書」みたいな面もある。(「あとがき」より抜粋)

このあとがきがすごく的を得ているなぁと感じ、腑に落ちました。本書はコピー集でありながら、まさに青春白書みたいな本なんです。124人のコピーライターが、ただ「いい!」と思っただけでなく、コピーライターを目指すきっかけになったり、思い出すだけでノスタルジックになったりと、1つのコピーが与えた様々な物語を知ることが出来ます。

改めて言葉の力ってすごいなぁと感じる『名作コピーの時間』。きっと読んでいるうちに、「自分に影響を与えたコピーってなんだろう?」とみなさんも思い返してしまうのではないでしょうか。
今回ご紹介した内容は、本書のほんの一部です。気になった方はぜひ手にとって実際に読んでみてくださいね。

    名作コピーの時間


    編集:宣伝会議 書籍編集部
    装丁:寄藤文平+吉田孝宏(文平銀座)
    定価:本体1,800円+税
    仕様:四六判/416ページ
    ISBN:978-4883354498
    発行:宣伝会議