長いお別れ

映画『湯を沸かすほどの熱い愛』を手がけた、中野量太監督の最新作が公開!

箱庭編集部のみさきです。
今日ご紹介するのは、本日5月31日(金)全国上映開始の映画『長いお別れ』です。

この映画は、認知症で記憶を失っていく父と家族のお別れまでの7年間を描く物語。
監督は映画『湯を沸かすほどの熱い愛』で注目を集めた中野量太監督。小説家・中島京子が自身の経験をもとに著した小説『長いお別れ』の本筋やユーモア、“おかしみ”はそのままに、監督独自の視点と感性で“家族の愛”を表現しています。

私は『湯を沸かすほどの熱い愛』を観た時の衝撃が忘れられず、監督の次回作をとても楽しみに待っていた一人。
蒼井優さん、竹内結子さん、松原智恵子さん、山﨑努さんをはじめとした豪華俳優陣による演技は言わずもがな素晴らしく、「認知症の人と家族」という決して他人事とは言えないテーマや、大切な人と過ごすかけがえのない時間について考えるきっかけになりました。

父の70歳の誕生日に告げられた、父が認知症になったという事実。

長いお別れ
映画のはじまりは2007年の秋。東家の母・曜子(松原智恵子)は、離れて暮らす娘たちに、70歳になる父・昇平(山﨑努)の誕生日パーティーへ「今回ばかりは必ず参加してほしい」と誘います。

旦那の転勤で息子とアメリカに移り住み、慣れない暮らしに戸惑う長女・麻里(竹内結子)と、スーパーの総菜コーナーで働きながらも夢のカフェ経営と恋人との関係に悩む次女・芙美(蒼井優)。帰省した二人に曜子が告げたのは、中学校校長も務めた厳格な父、昇平が半年前に認知症になったという事実でした。

記憶は失っても変わらない家族への愛。深い繋がり。

長いお別れ

長いお別れ
少しずつ進行していく昇平の認知症。娘の顔を忘れてしまったり、「帰る」と家にいるにも関わらず家に帰りたがったり。娘たちは父の言動に驚き、戸惑いながらも、変わらない愛情を感じ、自分自身の人生と向き合っていきます。

長いお別れ
ある日、家からいなくなった昇平。GPS携帯を頼りに曜子と娘たちが辿り着いた先は、家族でかつて一度だけ来たことがある、思い出の遊園地でした。

記憶をなくしていきながら、ゆっくりと遠ざかっていく父。お別れまでの長い7年間の末、家族は未来をどう歩んでいくのでしょうか――。

大切な人と過ごすかけがえのない日々が、より一層愛おしく思える映画

長いお別れ
近い将来、65歳以上の5人に1人が発症するといわれる認知症(出展:厚生労働省)。今作のタイトルは、認知症が英語で「Long Good Bye(長いお別れ)」と呼ぶことからつけられたそう。

たとえ家族でも、どれだけ近くで一緒にいても、人と人が繋がることはとても難しいし、誰しもいつかは必ず別れが訪れる。だからこそ、今この瞬間はとてもかけがえのないものであり、周りの大切な人と過ごす日々を大事にしなければいけないのだと、映画を観て改めて考えさせられました。

劇中で、昇平の記憶はどんどんと失われていきます。確かにそれは家族にとってとてもつらい出来事であることに違いありませんが、物語が進むとともに彼女たちは様々なことに気付き、これから生きるために大事なことをたくさん得ていったようにも思えました。シリアスなストーリーのなかにも、ほっと心温まるような穏やかさや、笑えるシーンがあったところにも、希望を感じます。

『長いお別れ』は、本日5月31日(金)全国上映開始。ぜひ劇場に足を運び、大切な人のことを思い浮かべながらご覧ください。

    映画『長いお別れ』

    2019年5月31日(金)全国ロードショー
    監督:中野量太
    出演:蒼井優、竹内結子、松原智恵子、山﨑努、北村有起哉、中村倫也、杉田雷麟、蒲田優惟人
    脚本:中野量太、大野敏哉
    原作:中島京子『長いお別れ』(文春文庫刊)
    主題歌:優河「めぐる」
    企画:アスミック・エース Hara Office
    配給・制作:アスミック・エース
    ©2019『長いお別れ』製作委員会 ©中島京子/文藝春秋
    URL:http://nagaiowakare.asmik-ace.co.jp/