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大陸を越えて生まれた文化的遺産。
アフリカにルーツを持つ、誇り高き子孫たちを捉えた写真集

こんにちは、箱庭編集部 moです。
今回ご紹介する週末読みたい本は『CIMARRON ブラック・アイデンティティ —南北アメリカの仮装祭』です。
本書は、フランス・ルーアンを拠点とし、土着文化や儀礼といった題材に注目してきた写真家のシャルル・フレジェが、黒人逃亡奴隷“CIMARRON(シマロン)”をはじめとする、今も残る南北アメリカの貴重な文化的な遺産を写真に収めた1冊です。

16世紀から19世紀にかけて奴隷としてアフリカ大陸から南北アメリカへ連れてこられた人々は、自身の宗教や文化を守り抜くため、さまざまな仮面や衣装、キャラクターを創りだし工夫をこらしてきたそう。美しく仮装を収めた写真集として楽しみながら、文化的遺産の資料のような役割もある奥深い1冊です。では内容を見てみましょう〜!

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どれも色鮮やかで楽しい、ユニークな仮装ばかりに見えますよね。ところが、これらは奴隷時代に支配層から読み書きを禁じられていた人々が、カンヴァスの上に絵の具を塗る代わりに自らの身体に彩色を施し、文化や信仰を紡いでいったというような歴史的背景があるそう。一目見ただけではわからない、今も消えつつある伝統芸術の奥深さを感じることが出来ます。

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本書の後半には、それぞれの仮装のキャラクターとグループについての解説も載っているので、写真と合わせて読むと、より一層楽しむことができます。

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例えばこちらの仮装、アンティグアのカーニバルで使われている仮装〈クラウン〉。

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さまざまなキャラクターが登場するアンティグアのカーニバルでもとりわけ有名なグループが、この〈クラウン〉だそう。ピンク色の仮面はヨーロッパ人男性を表しているのだとか。

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もちろん、パラパラと写真を眺めるだけでも楽しめる1冊です。日本ではあまり見たことがない仮装や衣装を見るだけで、世界との文化の違いを感じたり、新しい刺激を得られたりすると思います。

アフリカにルーツを持つ人々が、文化や宗教、伝統を守り続けようと創り出したさまざまな仮装や衣装、キャラクターたち。美しく、おもしろいだけでなく、思っていた以上に奥深いものでした。気になった方は是非一度手にとって読んでみてくださいね〜!