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週末読みたい本『アーティストの手紙』

こんにちは、haconiwaキュレーターのカナコです。
美術館に行くのが好きな私ですが、先日、ますます深い視点で作品と向き合えるようになりそうな本が発売されました。本日は、名作の裏側に隠された巨匠たちの本音を覗ける一冊『アーティストの手紙』をご紹介します。
100人のアーティストが綴った手紙を公開
『アーティストの手紙』は、過去500年の間に、アーティストたちが交わした手紙を集めた一冊。日常の出来事や愛の会話、お金の心配など、絵では表現されない100人の巨匠の本音を垣間見ることができるんです。
家族や友達へ送ったもの、パトロンへ送ったもの、旅先から書いたものなど、本書は全部で8章から構成されています。
見開き1ページで1つの手紙が紹介されており、左側には目一杯に実際の手紙が、右側に解説と手紙の書き起こし文が掲載されています。その手紙が書かれた背景などについても詳しく解説されているので、知識が浅くても理解しやすい内容になっていますよ。
筆致や紙の使い方から、アーティストの情熱や体温が伝わって来るような手紙そのものに、目が惹きつけられますね。
こちらは、ルノワールがパトロンへと綴った手紙。今や誰もがその名を知る巨匠も、かつては大変苦労したということがひしひしと伝わってくる内容が書かれています。手紙に添えられた画家の貴重なドローイングを堪能出来るのも、本書の醍醐味です。
流れるようなドラマティックな書体が印象的な手紙は、ルーベンスによるものです。1600年代に書かれたものだそうですが、400年近く経った今と比べても手紙の形態はほとんど同じですよね。時代が変わっても、人が人へ想いを伝えるという事自体は変わらないのかもしれない、としみじみと感じました。
こちらは、絵画の景色について細かく描写された手紙ですが、絵画の技術や表現力だけでなく、言葉で表現することにおいても卓越していた事が伝わってきます。
続いては、エゴン・シーレがパトロンへと宛てたもの。時折、渦を巻いたような書体が魅力的で、ポスターのようなグラフィック的な美しさが素敵です。
最後にご紹介する、19世紀後半にイギリスで活躍したビアズリーの手紙には、挿絵が登場。白黒のペン画で人々を魅了したビアズリーならではの世界観が、手紙にまで現れていることを感じられますね。
新たな視点で美術を楽しむきっかけに。
いかがでしたか?それぞれの手紙から、アーティストの筆跡や本音から、作品には出てこない彼らの人間性を窺い知れる一冊『アーティストの手紙』をご紹介しました。アーティストの人物像を思い浮かべながら美術展覧会に足を運んでみれば、また違った楽しみ方ができるかもしれませんね!
美術やアートがお好きな皆さんなら、きっと時を忘れて読み耽ってしまうはず。ぜひお手に取って、じっくり読んでみて下さいね〜。
税抜価格:2800円
著者:マイケル・バード
翻訳:大坪健二
ISBNコード:978-4-8373-0685-6
Janコード:9784837306856
Cコード C0070
サイズ・付属品:B5変型判、236×170mm
ページ数:224ページ
原書タイトル:Artists’ Letters
https://www.maar.com/shop/visual/%E3%82%A2%E3%83%BC%E3%83%86%E3%82%A3%E3%82%B9%E3%83%88%E3%81%AE%E6%89%8B%E7%B4%99
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