LIFE 暮らしを楽しむグッドな情報

福島・郡山の旅vol.2|無農薬のお米づくりから。次の100年に向けた酒造りをする「仁井田本家」

福島・郡山の旅vol.2|無農薬のお米づくりから。次の100年に向けた酒造りをする「仁井田本家」

こんにちは、シオリです。
全3回でお送りしている福島県・郡山の旅。
今日は、郡山で1711年創業、300年余りの歴史を持つ酒蔵「仁井田本家」をご紹介したいと思います。

仁井田本家といえば、これまでにhaconiwaでもご紹介したことがあるので、ご存知の方もいらっしゃるのではないでしょうか。

1803ohanami
最初にご紹介したのは、「お花見に連れて行きたい!全国の素敵なお酒9選」でした。日本酒といえば、毛筆で書かれた文字がドーンと描かれたようなものを思い浮かべる方も多いかと思いますが、そんなこれまでのイメージを覆すデザインですよね。

44_こうじチョコ
おみやげクリップのコーナーで、仁井田本家がつくるスイーツ「こうじチョコ」を取り上げたこともありました。酒蔵が作るスイーツというだけでも新しいですが、そのデザインにも思わず注目してしまいます。

どちらもシンプルで洗練されていながら、温かみのあるデザインが素敵です。そんな仁井田本家さんに、今回念願叶って初めておじゃますることに!酒蔵を見学しながら、素敵なデザインの商品を生み出す根底にある、酒造りへ込める想いを伺ってきました。お酒を造る姿勢は、私たちにとっても心に響くものが多くありました。

300年の歴史を次の世代につなぐ、100%オーガニックの日本酒づくり。

仁井田本家
仁井田本家は、郡山市で創業300年以上にもなる酒蔵。農薬・化学肥料を一切使わない自然米100%・純米造り100%・天然水100%・自然派酒母100%の“自然酒”造りを行なっています。

仁井田本家
現在、杜氏として酒造りの指揮を執っているのは、18代目となる仁井田穏彦さん。穏彦さんの父、17代目から始まった無農薬のお米を使った酒造りを、さらに突き詰めて“自然酒”造りに取り組んでいます。

そのきっかけとなったのは、2011年。仁井田本家が創業300年を迎えた年でした。ちょうどこの年に、仁井田本家が造るお酒の自然米使用100%を達成。一つの節目となったタイミングでしたが、同じ年に東日本大震災が起こります。大きな被害を受け、どんどん元気がなくなる福島。原発の問題もあるなかで、“自然酒”を造るということに風当たりもあったそう。

そんな状況の中、穏彦さんの心に湧いてきたのは、300年続いてきた酒蔵をここで途絶えさせてはいけない、次の世代に負の遺産ではなく、良いものを残したいという思いでした。そのためには、村中を無農薬の元気な田んぼにする。そして、それを次の世代に繋いでいくことが必要だと動き始めたのです。

仁井田本家
日本伝統の「生酛造り」で、より自然に近い方法でお酒を仕込んでいる仁井田本家。ここは、酵母を育てる「酛場(もとば)」。お酒造りに欠かせない微生物も、蔵に住む天然の菌です。桶に入っているお米が、この後お酒になっていくのかと思うと不思議ですよね。

そもそも仁井田本家が無農薬のお米にこだわるのは、お米のポテンシャルがお酒に出るから。自然米で造られるお酒は、ふくよかで、やわらかさがあり、辛口に造っても味わいに角が立たないそう。仁井田本家には「しぜんしゅ」「穏」「田村」と3つのブランドがありますが、大前提にあるのは「自分たちが飲んで美味しいと思う、お米の旨みがある日本酒」を造ること。そんなお酒造りに欠かせないのが、お米へのこだわりなんです。

仁井田本家
使うお米は自社田のほか、県内6社、県外2グループの方々と契約栽培をすることで、農薬・化学肥料を一切使わず栽培した“自然米”にこだわっています。自社田での米作りも、有機肥料も使わず稲わらなど田んぼから採れたものだけを田んぼに返す「無肥料自然栽培」を社員総出で取り組んでいるそう。

農薬を使えば米はたくさんできるけど、土は悪くなり、米がたくさんできれば値段も下がる。そうなれば、農家を継ぐ子供もいなくなるという悪循環が生まれてしまう。そうではなく、仁井田本家が目指すのは循環型の農業です。「日本の田んぼを守る」仲間を増やすために、田んぼ作業を一緒に学ぶ「田んぼのがっこう」という取り組みも行っているんです。

仁井田本家
醸造に使う水も、自社田近くの「竹の内の井戸水」(硬水)と、自社山から湧き出る「水抜きの湧水」(軟水)という二つの天然水をブレンドして使用。洗米やタンクの洗浄までも、この天然水を使っているため、水を守るために所有するおよそ100haの山の管理も大切な仕事の一つなんだとか。

また、廃水処理の基準値も厳しく設け、再利用できるリユース瓶の使用率も95%を超えています。造って終わりではない、循環型の酒造り。それが、ここ仁井田本家にはありました。

自給自足の蔵を目指して。

仁井田本家
この蔵で造った日本酒なら安心して飲めると思ってもらえるよう、衛生面にも十分注意しているそう。蔵内の太い梁や床板には柿渋を塗り込んでいるので、見た目にも趣があります。

仁井田本家が目指すのは、自給自足の蔵。お米や水だけでなく、お酒を醸す道具も自分たちで作り、現在は100%再生可能エネルギーを供給する会津電力を使っている電気も、今後は自分たちの力で生み出すことを目標にしているそう。

「日本の田んぼを守る蔵になる」という確固たる使命のもと、一つ一つに真摯に取り組む仁井田本家。蔵を見学することで、その姿勢がぐっと伝わってきました。

デザインの軸にあるのも、次の世代への想い。

仁井田本家
蔵の一角には売店があり、しぜんしゅをはじめ、穏、田村など各ブランドのお酒を購入することができます。試飲もできるので、お好みの味を見つけてみてはいかがでしょうか。

蔵を見学したあと、試飲もしながらお酒を選ぶ時間は最高!ですが、やはり私が気になるのがボトルのデザイン。

仁井田本家
仁井田本家のお酒造りに向き合う姿勢を知ると、それを表しているんだなぁと改めて感じる「にいだしぜんしゅ」のデザイン。「しぜんしゅ」ブランドは2017年、誕生50年を機にリニューアル。デザインを手がけるのは、アートディレクター・イラストレーターの古谷萌さんです。仁井田本家のブランディングを担当する郡山出身の写真家・鈴木心さんの繋がりで出会い、お願いすることになったそう。

リニューアルの決意をしたのは、50年前から作っている商品を、もっと若い世代の人に飲んでもらいたいという想いがあったから。また、環境への配慮からインクや紙の使用量を抑える必要性も感じていました。そのためには、若い方の感性が欲しいと思うとともに、今30歳くらいの方であれば自分の子供の代まで長いお付き合いができると考えたそうです。

「しぜんしゅ」は仁井田本家の売上のなかでも、最も高い割合を占めるブランド。それを大幅にリニューアルすることは、清水の舞台から飛び降りる覚悟だったと、社長の穏彦さんはおっしゃいます。斬新とも言えるデザインに最初は否定的な声もあったそうですが、若い人たちにはシンプルでおしゃれと言ってもらえることが多くなり、リニューアル前より売上も少しずつ増えているんだとか。

仁井田本家
しぜんしゅをはじめ、酒粕をパウダー状にした「にいだのさけゆき」なども、ひらがなが使われているのが印象的です。世界中で日本にしか使われていない固有の文字であるということと、「自然酒」と漢字で記すよりもやわらかい雰囲気がでることから、ひらがなを使っているそう。

ちなみに、「こうじチョコ」のデザインに使われている文字は、社員全員で書いたものを公平に投票し、選んでいるんだとか!ロゴも自給自足。とても素敵ですよね。

仁井田本家
こちらの「百年貴醸酒」も、古谷萌さんによるもの。貴醸酒とは、水ではなくお酒を仕込んで造る贅沢なお酒。この百年貴醸酒は、前の年のお酒を使い、その年のお酒を醸すことで次の年へとバトンを繋いでいます。デザインでもそれが表現されており、ボトルに書かれた「一〇〇」の、上の◯は十の位、下の◯は一の位を表しているんです。

造り始めたのは、蔵の300周年だった2011年。「自分はもう生きていないと思うけど、400周年にはこの百年貴醸酒で、みんなで乾杯できるんじゃないかな」と穏彦さんはおっしゃいます。一年一年を大切にし、次の100年を想いながらお酒を造る。素敵なデザインには、そうした素敵な心意気が込められていたのでした。

みなさんも、蔵に足を運んでみませんか?

2001_niidahonke_10
最後にちらっとだけ覗かせてもらったのは、蔵の2階にあるギャラリースペース。素敵な陶器や漆器が並べられていました。こうしたスペース作りも素敵な仁井田本家さん。お花見の時期に新酒を味わえる「にいだの感謝祭」や「にいだのスイーツデー」など、定期的にイベントも行っており、地元の方や仁井田本家のお酒のお客さんとの交流を大切にされています。みなさんも、ぜひ一度足を運んでみてはいかがでしょうか?

仁井田本家
住所:福島県郡山市田村町金沢字高屋敷139番地
TEL:0120-552-313(Free call)
https://1711.jp/

NEWS 最新記事

EXHIBITION

いまオススメの展示・イベント

//*---- ▼ ここからSNS ----*// WEAR_ロゴ OMIYAGE CLIP H A C O N I W R E T S